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土砂崩れに猛暑… 山形県内を襲った「自然災害」 カメラが見つめたやまがた2023

2023年12月6日 17:36
土砂崩れに猛暑… 山形県内を襲った「自然災害」 カメラが見つめたやまがた2023

YBCはことしも様々なニュースを取材して皆さんにお伝えしてきました。そうしたニュース映像でことし1年を振り返るシリーズ企画「カメラが見つめたやまがた2023」を8回にわたってお送りします。1回目は山形県内を襲った”自然災害”に焦点を当てます。

2023年元日。県内は予期せぬ災害とともに年明けを迎えた。
前日の去年12月31日の午前1時前ー。

通報者「これ、どうなっとんねん」

現場を通りかかった男性はわが目を疑った。

記者リポート「時刻は4時半です。現場を見ますと、建物の屋根らしきトタンが道路に大きくはみ出しているようです」

鶴岡市西目地区で発生した土砂崩れ。住宅の裏山が突如崩れ、住民ら4人が巻き込まれた。がれきと化した自宅から助け出された加藤省一さん。当時は2階の寝室で就寝中だった。

加藤省一さん「突然、バリバリという音がしてベッドの上に木材がかすった。えっ、なんだこれ…と」

救助隊により発生から3時間後に助け出された加藤さん。しかし、隣人の高齢夫婦2人が行方不明に。正月返上で24時間体制の救出活動が続いた。
そして、発生から2日後ー。

記者リポート「時刻は8時45分です。2人が見つかったとみられる現場にブルーシートが張られました」

高齢夫婦2人は自宅から5メートル下に離れた土の中から遺体で発見された。
なぜ、土砂は崩れたのか。

今から50年前。現場の裏山では採石に伴う掘削が行われていた。専門家は、風化して弱くなった地盤が掘削でさらに崩れやすい状態となり、去年の大雪で圧力が加わったことが引き金となって、崩れたと分析している。家を失った加藤さんは1月下旬、市営住宅に入居した。

加藤さん「仲の良い夫婦が犠牲になったじゃないですか。自分はもう西目に戻れない」

ほかにも、現場近くの4世帯13人は11か月にわたって避難生活を余儀なくされた。

サクラの開花宣言「本日3月31日に山形地方気象台はサクラの開花を観測しました」

ことし、県内は春先から記録的な暖かさとなり、サクラも各地で観測史上最も早く開花した。
しかし、この暖かさは、次第に厳しさを増し人々の生活を脅かしていった。

記者リポート「午後2時半過ぎの山形市七日町です。この時間になってもまだ日差しが強く蒸し暑いです」

山形市の最高気温の月平均を見ると、3月は平年より5.2度高く、5月は平年並みに近づくものの、それ以降は次第に差が開いた。8月の月平均は猛暑日の「35度」に達し、平年よりも4.5度も高くなった。
暖かさは記録的な猛暑にかわり悲劇を呼んだ。

米沢市・教育長会見「無事に帰すことができず言葉もありません。この度は誠に申し訳ございませんでした」

7月28日午前、米沢市立第三中学校に通う女子生徒が部活動からの帰宅中、熱中症で倒れ、死亡した。当日、部活動の顧問は熱中症対策のガイドラインに定める事前の暑さ指数の確認を怠っていた。
そして女子生徒の死から1か月後ー。

山川麻衣子アナウンサー「山形市立第十中学校前です。現在、現場は規制線が張られていて消防車や救急車など緊急車両が複数台止まっています」

教訓は生かされなかった。8月24日午前、山形市立第十中学校のグラウンドで体育祭の練習中、13人の生徒が熱中症で体調不良となり、病院に搬送された。練習が行われていた午前9時ごろ、山形市の気温は31度に達していて、暑さ指数では激しい運動の中止が呼びかけられる「厳重警戒」レベルだった。
相次いだ猛暑による事故。
異常事態を受け、県内の中学校では7割以上が体育祭を9月中旬の開催に延期したほか、県は今年度中に全ての公立中学校と県立高校の体育館などに冷房機器を設置することを決めた。
ことし県内で熱中症の疑いで搬送された人の数は1111人で、最多だった2019年の765人を大幅に上回った。
暑く長い夏が終わり、短い秋が過ぎた。
気温は11月に入り、ようやく10度台まで下がったが、それでも平年より高い状態が続いている。
そして、再び冬がやってきた。
土砂崩れがあった鶴岡市西目地区。住宅裏の土砂の撤去が終わり、土砂の動きを感知する装置が正常に設置されたとして市は11月28日、4世帯13人に出していた避難指示を11か月ぶりに解除した。
救助された加藤省一さん。加藤さんは避難指示が解除された日に、自宅があった現場を訪れたという。

加藤さん「避難指示解除を宣言するということでどれだけ山が削ってあるのか、工事が終わっているのかと見たら重機もまだたくさんあったし、自宅の前にがれきがまだあったし。まだここまでか…と」

安全対策工事の進ちょくが遅いと感じている。現場の安全対策工事を担当する県は、これから本格的な冬に入るため作業の進捗が見通せず、全ての工事の完了時期は示せないとしている。
県内の土砂災害警戒区域で鶴岡市西目と似た特徴がある危険箇所は実に671か所に上る。
年々激しさを増す自然災害。自分自身や大切な人の命を守るため、備えが必要だ。

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