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有名人かたる手口とは 特殊詐欺・投資詐欺・ロマンス詐欺に注意を 山形県内で認知件数増加

2024年10月10日 17:01
有名人かたる手口とは 特殊詐欺・投資詐欺・ロマンス詐欺に注意を 山形県内で認知件数増加

私たちの暮らしに身近な出来事の現場を取材し、その背景や影響を探る「THE現場検証」です。山形県内で増加傾向にある「特殊詐欺」に注目します。SNSを悪用し、若い世代が被害に遭うケースも確認されています。巧妙化するその手口を検証し、被害に遭わないための対策を考えます。

県警提供音声データ「総務省からの重要なお知らせになります。あと2時間で現在お使いになられている電話機すべての通信サービスを停止させていただきます。オペレーターにおつなぎをご希望の方はダイヤル1を押してください」

これは、県内の70代の男性に実際にかかってきた音声です。架空料金の請求やオレオレ詐欺の予兆電話でした。不審に思った男性が警察に相談したため、被害を免れました。しかし、ことし県内では同様の手口で現金280万円がだまし取られる事件が発生しています。

県警生活安全企画課加藤幸生企画担当補佐「ことし、警察官や総務省などをかたる オレオレ詐欺の手口が出てきて、現役世代の方もだまされている」

7月、山形市に住む60代女性の自宅の固定電話に「総務省のチバ」を名乗る男から電話がありました。

「あなたの名義で勝手に携帯電話が契約されている。このままでは電話回線が全て止まるので2時間以内に被害届を出してください」

その後、男は女性に携帯電話の番号を教えるよう要求ー。理由は『新宿署の〝キムラ〟と通信アプリのLINEで連絡を取るため』と述べました。

女性が携帯番号を伝えるとその日のうちにスマートフォンに「木村」というLINEアカウントからメッセージが届きました。そして、警察手帳のような写真も送られてきました。一連のやりとりで相手が警察官だと信用した女性は、現金280万円を送金しました。
オレオレ詐欺や架空料金請求などのいわゆる「特殊詐欺」による被害は県内で増加しています。その認知件数は2020年(28件)から2021年(21件)にかけていったん減少しましたが、2022年(47件)には再び増加に転じました。特にことしは8月末時点で49件とすでに去年(2023年)1年間の47件を上回っています。
「特殊詐欺」に加えて近年増えているのがSNSを悪用した「投資詐欺」と「ロマンス詐欺」です。
このうち「SNS型投資詐欺」はフェイスブックやインスタグラムなどの広告を入口にして投資で儲かると信じ込ませて金銭をだまし取る手口です。
一方、「SNS型ロマンス詐欺」はマッチングアプリなどで接触し恋愛感情や親近感を抱かせて投資に誘導するなどして金銭などをだまし取るものです。
2つの詐欺の認知件数は県内で去年(2023年)が42件だったのに対し、ことしは8月末時点で59件とすでに去年1年間を上回っています。
3月には寒河江市に住む20代の女性がSNS上にある副業の広告から投資による儲け話をもちかけられ、現金200万円をだまし取られる事件が発生しています。

女性「いまはいら立ちというか人が人を思う気持ちをもて遊ばれているような感じですごく許せない」

鶴岡市に住む50代のこの女性のもとにもSNSを使った詐欺の魔の手が迫ってきたといいます。
ことし7月下旬、女性のスマートフォンのアプリに有名アーティストの「YOSHIKI」さんを名乗る人物から連絡が来たのが始まりです。
女性が返信するとこの人物は通信アプリの「LINE」で『連絡が取りたい』と持ちかけてきました。

女性「そんなはずはないと思いながらも本人なのかもしれない。YOSHIKIさんといま連絡を取っているんだとちょっとうれしい気持ちもあって」

しかし、やり取りを続けているうちに家族構成などの個人情報を聞いてくるようになったといいます。さらにー。

女性「Appleギフトカードを購入したら僕に会えますとか送られてきて、買うとか買わないとかの返事はしないであやふやにした。だんだん怖くなってきて」

女性はその後、警察に相談。詐欺の恐れがあり、相手をブロックするよう助言を受け、被害に遭うことはありませんでした。
県警の担当者はSNSを使って有名人などをかたる詐欺の手口にはこれまでの特殊詐欺とは違った特徴があると指摘します。

県警生活安全企画課加藤幸生企画担当補佐「特殊詐欺の一つである 架空料金詐欺であればあなたに未納料金がある。お金を払わないと裁判所に訴えるなど”話を信用させて”お金を振り込ませる。SNS型詐欺は経済評論家などの人が儲かるという話や広告を見てその人が言うなら儲かるだろうと。”人を信用して”お金を振り込む。そこが一番の違い」

人間関係や信頼関係を悪用したSNS型詐欺は相手に深くのめり込んでしまうケースが多く、犯人とやり取りを繰り返せば繰り返すほど詐欺と疑うことが困難になるといいます。

県警生活安全企画課加藤幸生企画担当補佐「SNSで会ったこともない人から お金振り込めとか投資の話が出てきたら詐欺を疑う、警察に相談する」

詐欺の被害は高齢者だけでなく、若い世代をい含む幅広い年齢層に拡大しています。

県警生活安全企画課加藤幸生企画担当補佐「若い方も詐欺の被害に遭う 可能性があることを十分認識して、だまされないための自衛手段や心構えをもってもらいたい」

重要なのは、詐欺に遭う危険性を〝自分ごと〟として考えることー。県警ではほかにも「電子マネーやネットバンキングを使った 詐欺が増加している」と注意を呼びかけています。

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