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積雪50センチの新庄市中心部にクマ居座る 専門家「エサ豊富で冬眠遅れた可能性」

2025年2月3日 18:23
積雪50センチの新庄市中心部にクマ居座る 専門家「エサ豊富で冬眠遅れた可能性」

新庄市中心部に1日、クマが出没し翌日まで市内の最上公園に居座りました。クマはその後も中心部を移動しましたが2日、捕獲され、被害はありませんでした。本来、冬眠の時期になぜクマが市街地に出没したのか専門家に聞きました。

1日、新庄市の最上公園で撮影された映像です。木々の間にクマの姿がありました。

クマが最初に目撃されたのは1日午後1時半ごろ。新庄市十日町で走っているクマ1頭を車で走行中の女性が発見しました。その後、クマは目撃された場所から南東におよそ350メートルの新庄中学校に移動します。地元の猟友会のほか、警察や消防団などおよそ150人態勢で対応に当たりました。

カメラマンリポート「いま猟友会の人たちが物々しい雰囲気で正面の方に向かいました」

人のいない方向に追いやろうと大声を挙げます。

猟友会「おいおいおい!おらおらおら!」
「あそこの屋根の上に上がっていた。手前に降りてきた。動いた?」

最初の目撃からおよそ2時間半後の午後4時。クマは中学校からほど近い最上公園に現れました。消防団が公園を囲むように車両を置いて警戒しました。近隣には住宅街があり、不安の声が聞かれました。

住民「2階の窓から中学校と弁当屋の間を走っていくのが見えて怖い」

猟友会は園内に箱わなを設置しますが、この日の捕獲には至りませんでした。
一夜が明けた2日、依然としてクマは最上公園に居座ります。市は獣医師に依頼し麻酔銃を用意し、捕獲の機会をうかがいますが、午前7時ごろ、クマは公園から逃げ出します。
そして、最初の目撃からおよそ20時間後の2日午前9時半すぎ。クマは最上公園から南東におよそ200メートル離れた新庄市小田島町の住宅街に。獣医師が麻酔銃を撃ちます。
猟友会のメンバーがクマを捕獲しました。クマは体長はおよそ1メートル35センチ、体重はおよそ50キロのメスの成獣だったということです。クマはその後、正午ごろに山に放されました。今回の出没による人的被害などはありませんでした。
猟友会のメンバーによりますと、目撃情報などからクマは鮭川村方面から来たとみられるといううことです。
本来は冬眠の時期のいま、なぜクマが市街地に出没したのか。専門家に聞きました。

山内貴義・岩手大准教授「出てきた状況を見るとおそらく冬眠から起きてたまたま歩いたというわけではないのではないかなと。冬眠しないでうろちょろしていた可能性もある。そういった冬眠しない個体が市街地をうろつくのはかなり異常な状態」

クマの冬眠はエサとなる木の実などの量に影響を受けるといいます。今シーズンは木の実が豊富だったということです。

山内貴義准教授「エサが豊富だと冬眠するのが遅れるといわれている。今季に限っては冬眠すること自体が全体的に遅れたと考えられる」

山内准教授は去年秋は木の実などのエサが豊富だったために、エサが少なくなる冬になっても冬眠せず、人里にあるエサを求めて市街地に出てきた可能性もあるといいます。

記者「寒い時期に市街地や人里にクマが下りてくる状況は続くと考えていい?」
山内貴義・准教授「例えばうまく冬眠に入れずに だらだらとエサを食べている個体がいるとするとまた出てくる可能性は非常に高い。人の家の裏にある使っていない物置や廃屋とか空き家に冬眠してしまう個体もいるかもしれない」

山内准教授は今後も同じようにクマが出没するケースに対応するために、捕獲したクマの年齢や特徴のほか、市街地に来た目的やどのようなルートで来たのかなどを分析することが重要と指摘しています。

最終更新日:2025年2月3日 19:46
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