山梨県の石和温泉郷のホテルで18歳の女性従業員の胸を触るなど、わいせつな行為をした罪に問われていた元宮司の男（77）の裁判が25日甲府地裁で開かれ、執行猶予付きの有罪判決が言い渡されました。

　不同意わいせつの罪に問われていたのは名古屋市の元宮司、岡田民生被告（77）です。

　起訴状などによりますと、岡田被告は今年6月、笛吹市内のホテルの部屋で、部屋の案内を担当した女性従業員（当時18）に無理やり抱きしめたり下着の中に手を入れて直接胸を触ったりするなど、わいせつな行為をしたとされます。

　これまでの裁判で、岡田被告が部屋に案内されるまでの間に女性従業員のマスクを無理やり取って「かわいいね」と話しかけたり部屋に入ると抱きしめて抵抗されながらも胸を触ったりした犯行の経緯や、その後、女性従業員にチップとして現金3000円ほどを渡して電話番号を聞いたこと、さらに岡田被告が約40年にわたる常連客で、以前も被害にあった女性従業員の腕を触ったり、ほかの女性従業員を食事に誘ったりしていたことなどが明らかにされました。

　また、被告人質問で岡田被告は「いい感じの接客で舞い上がってしまった。嫌がるそぶりもなかったので、いいかなと思った」と話し、被害女性への謝罪の仕方を問われた際には「神様の前で僕の気持ちが届くようにお詫びしていく」などと述べたほか、証人尋問で被害女性が「高校卒業後、初めて働いた職場を辞めることになり、私の人生はめちゃくちゃになった。言葉にできないほどの傷が私の心に残された」などと話し、厳しい処罰を求めていました。

　9日の判決で甲府地裁は「当時18歳だった女性へのわいせつ行為は悪質で、経過や動機は独りよがりで身勝手。若い女性に強い恐怖や精神的被害を与えた」などと指摘しました。一方で「事実を認め、更生の意を示している」などとして懲役2年6か月の求刑に対し、懲役2年執行猶予4年の有罪判決を言い渡しました。