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【特集】「学校と同じくらいの選択肢に」不登校最多…フリースクールの現在地「出席扱い」や「費用」めぐり動きも

2025年2月5日 14:08
【特集】「学校と同じくらいの選択肢に」不登校最多…フリースクールの現在地「出席扱い」や「費用」めぐり動きも

 昨年度、県内の不登校児童・生徒の数は2327人と過去最多に上りました。こうした中、不登校児童・生徒の受け皿となっている「フリースクール」を巡り、利用しやすい環境づくりに向けた動きが出始めています。

「おはようございます。きょうは山に登ります」

 冬休みが明けて3週間が経った、とある平日。甲府市上積翠寺町の要害山の登山道には、午前中から子どもたちのにぎやかな声が響いていました。

 南アルプス市の体験型フリースクール「みんなのおうち」が企画した自然散策です。

参加した子ども
「(スタッフの)もっちゃんがリュックを3つ持っていたので、俺もハンデが欲しくなったので1つもらいました」

参加した子ども
「着いたよ!てっぺん!」

 中西紀説さんが代表を務める「みんなのおうち」の開設は4年前-。

 「集団生活になじめない」「いじめられる」など、さまざまな理由で学校への通いにくさを感じている子どもを受け入れ、これまでにのべ約1万人の小中学生が利用してきました。

体験型フリースクール「みんなのおうち」中西紀説 代表
「学校というみんなが通る道に対して『ここでは自分らしく生きられない』ことを選択した子どもたちで、それはものすごく勇気がい要ったと思う」

 県内の公立学校で昨年度、不登校になった児童・生徒は過去最多の2327人。受け皿となるフリースクールは存在感が増す一方、課題にも直面しています。

体験型フリースクール「みんなのおうち」中西紀説 代表
「フリースクールに通っている子どもの出席の扱い、フリースクールの利用料などがネックとなって」

体験型フリースクール「みんなのおうち」中西紀説 代表
「(フリースクールに)通わせたいけど通わせられない」

 フリースクールへの通学を進級などに必要な「指導上の出席」として扱うのか。

 そして、月の利用料が平均3万円超えと費用負担の大きさ。この2つの問題は、これまでずっと議論の的になってきました。

 1月に開かれたフリースクール関係者による会議では…

教育関係者
「出席認定については難しさがあり、教育委員会ごとで対応がまちまち」

 また、長崎知事を囲む座談会でも…

フリースクール関係者
「費用の面を理由に、フリースクールに通えない家庭は正直多い」

 こうした中、県教育委員会は去年8月、フリースクールなどに通う子どもについて「指導要録上の出席」として定義するガイドラインを策定しました。

 フリースクールの利用を出席扱いとするかについての判断基準などを明記し、各市町村の教育委員会に活用を促しています。

県特別支援教育・児童生徒支援課 玄間修課長
「民間施設での学習を、どう学校が出席として扱うか」

県特別支援教育・児童生徒支援課 玄間修課長
「(これまで)それぞれの事案で整理されていたし理解が進まない部分もあったため、一つの指針として(ガイドラインを)役立ててもらえればいい」

体験型フリースクール「みんなのおうち」中西紀説 代表
「非常にうれしい流れ。全市町村にそのまま批准されたり、出席扱いが普遍的になったりするといい」

 「朝の会、おはようございます」

 この春、中西さんは課題の費用負担について、新しい挑戦をすることに決めました。

体験型フリースクール「みんなのおうち」中西紀説 代表
「今年の4月から、『みんなのおうち』は完全無償化という形にする」

 月約4万円の利用料を、サポーター会員の寄付や地元企業の支援で賄う画期的な取り組みです。

 さらに、県も低所得世帯を対象にフリースクールの利用料を一部助成する制度の導入に動き出し、追い風も吹き始めました。

 中西さんはこれまでセーフティネットだったフリースクールが、子どもの学習の選択肢の一つに変わる未来があると信じています。

体験型フリースクール「みんなのおうち」中西紀説 代表
「フリースクールを学校と同じくらいの学びの選択肢までもっていきたい」

体験型フリースクール「みんなのおうち」中西紀説 代表
「『どちらを通っても大人になれるから安心して』という世の中になることを目指して活動を続けたい」

最終更新日:2025年2月5日 14:09
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