【なぜ?】イルカが泳ぐコバルトブルーの海に“中国製タバコ”が大量漂着 密輸の可能性も?すでに約650カートン回収も、被害は九州沿岸各地に…専門家指摘「外交ルートで対応を求めたほうが良い」
熊本・天草市の海岸に、大量の“中国製タバコ”が漂着。すでに約650カートンを回収したということですが、鹿児島県内でも大量に見つかっています。九州の美しい海に一体、何が―。
■トラックの荷台いっぱいに…熊本県・鹿児島県の海岸に大量のタバコが漂着 世界に誇る美しい海に今、何が―
2024年7月下旬。住民から通報があり、熊本・天草市役所の職員が海岸で見たのは、明らかに中国製とわかるタバコのパッケージでした。下の部分には中国語で、「小・中学生は吸ってはいけません」と注意書きが。
天草が世界に誇るもの―それは、イルカが泳ぐコバルトブルーの海・豊かな海の幸・その恵みと共に生きる人々。その大切な海が海外から漂着したタバコで汚されることに、地元の人は…。
(地元の住民)
「嫌だなと思いました。いつもは、澄み通ったキレイな海なんです。汚れるのは困ります」
「嫌ですね、そんなの。誰が持ってきて流しているのかな。気持ち悪いです」
警察によると、2024年7月23日から同年8月21日までに「タバコが漂流している」という情報が約15件寄せられたということです。タバコが見つかったのは苓北町(れいほくまち)から天草市までの西側の海岸で、すでに10箱入りのカートン約650個を警察が回収しています。
ただ、海は繋がっているため、『ミヤネ屋』は天草市から南の東シナ海に面した自治体を取材。すると、苓北町・天草市の650カートンを皮切りに、鹿児島県では薩摩川内(さつませんだい)市内だけでなく、下甑島(しもこしきしま)でも。南九州市では1644箱、指宿市では軽トラの荷台いっぱいのタバコを地元の役場が回収していることが判明しました。
■ペットボトルにシャンプーらしきもの…タバコ以外にも中国語のゴミが散乱、取材班が現地で見た光景とは―
(『読売テレビ』西山耕平ディレクター)
「熊本・天草市の下田港に来ています。後ろに見える海が天草灘、その奥が東シナ海です。地元の人によると、この周辺は『伊勢エビ漁』が盛んで、今は正にシーズンだということです」
(西山ディレクター)
「そんな時期に、大量のタバコが流れ着いています。警察によると約650カートン回収されているということですが、我々が取材に入ってからも、散乱しているのが確認できました」
(西山ディレクター)
「また、中国語で書かれたコーヒーの粉・ペットボトル・男性用のシャンプーらしき空き容器なども、数多く散乱していました。地元には漁師の方も多いので、『イメージも良くないし、生態系にも影響を与えるのではないかと、非常に心配だ』という声が聞かれました」
Q.以前からいろんなものが漂着していた、という話はありましたか?
(西山ディレクター)
「下田港周辺の方に話を伺いましたが、『以前、どこかで中国船が座礁して物が流れ着いたことはあるが、こんなに一度に、しかもタバコが集中して押し寄せたのは初めてなので、原因が一体何なのか、非常に不気味だ』と話されていました」
■原因は『船の事故』『コンテナを落とした』、あるいは“密輸失敗”の可能性も…?
環境省は、「漂着ゴミはペットボトルなどが多く、タバコの大量漂着はあまり聞かない」として、「船の事故・コンテナを落としたなど、突発的なことが原因ではないか」としています。
中国のタバコを巡っては、過去に『密輸』がありました。2021年、韓国・群山市で、中国製タバコを密輸しようとした運び屋4人を検挙。公海上で1万7200カートンを発見・押収しました。“海上密輸”は、「船Aが海に投げ入れたタバコを船Bが回収する」ということですが、その際に回収しきれなかったものが発見されたということです。
Q.日本政府は中国政府に対して、「何が起こっているのか」と聞くべきではないですか?
(元経産官僚・岸博幸氏)
「本来は、外交ルートで『こういう問題が起きているので何とかしろ』と言ったほうがいいです。中国政府は話を聞かないと思いますが、やはり対応はしっかり、やることはやるべきです」
(「情報ライブ ミヤネ屋」2024年8月23日放送)