駿河台・徳本監督「原監督の景色を見たい」
大会総合新記録、復路新記録、そして2つの区間新記録と、青山学院大学の記録ラッシュとなった今年の箱根駅伝。
青山学院大が新記録で箱根駅伝の歴史に名を刻んだ一方、新たに箱根駅伝の歴史が始まったのが、今年初出場となった駿河台大学です。
12日飯能市内のキャンパスで新チームが始動し、徳本一善監督がインタビューに応じました。
「本当に遊び倒して、本当に楽しかった箱根駅伝だったなと個人的には感じています」と、初めての箱根路を振り返った徳本監督。
「選手たちにも『楽しかったか?』と聞いたら『楽しかった、最高だった』と話していたのでシンプルにそうなんだろうなと思いましたね。特に(10区の)阪本なんて『最高だった。人生変わった』って。阪本がフィニッシュテープ切った写真を見たときに、ウルっとくるものがありましたね」
3日の復路では、9区のレース中にトップを快走していた青山学院大の原晋監督からメッセージがきたことも明かしました。
「なんで原さんメッセージ送ってくんだと思って。『繰り上げ待ちませんよ笑』って。コーチにすぐ何秒差か確認するように言って、あと何キロだから、今1キロ何分ペースで走っているか、全部情報聞きました。1キロ3分5秒で押し切ったら多分大丈夫だけど、3分15秒だと本当に危険信号だなと。予断を許さないような状況だなと思って、的確に声かけようみたいな感じで。あとラスト3キロくらいで『もう大丈夫です。襷はつながります』って返信しました」
自身も法政大学時代に4年連続で箱根路を走った経験者。監督車からの声かけは学生時代の経験を基に、かける言葉を考えたといいます。
「ラスト3キロぐらいまでは、彼らの動きをしっかり見て『そのリズムでいいよ』とか『そのリズムだと遅いよ』とか、走りに関する指示をするよう心がけました」
ラスト3キロからは、内容は走りのことから気持ちの部分に変えたといいます。
「頭の中に思い出話じゃないけど、こんなことあったよなとか、感慨深い話がこみあげてきている部分もあって。僕が選手だった時もそうだったんですけど、早い段階でなんだかんだ言われても、頭に入ってこなかったんです。最後の1キロとか勝負所で声をかけてもらったことが、自分の中では力になったっていう経験があったので、ほとんどの選手にはラスト3キロから、そういった言葉をかけようって。決めていたわけではないけど、何となく感じている部分はありました」
中学校体育教師を休職して駿河台大に編入学し、箱根では4区を走った31歳の今井隆生選手(4年)とは、箱根後に2年ぶりに一緒にお酒を飲んだという徳本監督。
「心理学の勉強の話とか卒論の話をしました。今井に卒論の研究内容を頼んだんですよ。うちの選手たちに還元できるようなスポーツ心理学で論文書いてくれって。もう卒論書き上がって発表すると言っているので楽しみです」と笑顔を交え、話しました。
そして、新チーム始動の日、午前6時から始まった練習前に、徳本監督は今年の目標を宣言しました。
「箱根の景色を見て目標を決めました。『シード権』取りにいきます。シード権取りにいくって俺が言ったところでシード権取れるわけでもないし、シード権狙う、という意思を持っていればいいけど、その意思がないのに、このチームにいても意味のない1年を過ごすことになると思うので、そこの覚悟の部分だけは、それぞれしっかり持っていてほしい」
2年連続の箱根駅伝出場、そしてシード権獲得へ目標を定めた徳本監督の目は、さらにその先の目標も見据えていました。
「青山学院の原監督とかいろんな監督と話をさせていただく機会があって、やっぱり勝負したいなって気持ちが強くなりましたね。『原監督の(見ている)あの景色を俺も見たいな』って純粋に思えたんで。それが楽しみだったり、オモシロいと思えるところなんですよね。オモシロいと思ったらやっちゃうタイプなんで。(原監督は)まだまだライバルって言えるような差じゃないですが、1日でも早く追いつきたいなって気持ちはあります。いつかは超えなきゃいけない存在だと思っているので。こういう仕事に就いた以上、そういう夢は持っていていいんじゃないかと思います」