【高校サッカー京都全力応援】苦しんだ先につかんだ全国切符 「京都橘」を応援したい5つのこと
1.国内外で活躍する生徒たち
京都橘は1902年に「京都女子手芸学校」として創立し、2000年に男女共学となりました。
国公立大学や難関私立大学へ合格者を輩出する一方、部活動も盛んです。女子バレーボール部や陸上競技部が全国大会の常連となっているほか、吹奏楽部は世界最高峰の舞台であるアメリカのローズパレードに出場するなど国内外で活躍しています。
2.91回大会全国準優勝
男子サッカー部は2001年創部。初めて選手権全国大会に出場した87回大会は初戦で前橋育英に敗れましたが、2度目の出場となった91回大会では初勝利から一気に決勝まで上り詰める快進撃を見せました。
宮崎代表の鵬翔との決勝戦は2-2からのPK戦の末に敗れ準優勝。現在、J1FC町田ゼルビアの仙頭啓矢選手と柏レイソルの小屋松知哉選手はともに大会得点王となりました。
続く“国立最蹴章”の92回大会で京都橘は準決勝で星稜に敗れるも、改修前最後の国立競技場でベスト4の成績を残しました。
そして今大会、京都橘は開幕戦を戦うことになり、11大会ぶりに国立のピッチに戻ります。
3.苦しんだ先につかんだ全国の切符
2大会連続で全国の切符をつかんだ京都橘ですが、その道のりは平たんではありませんでした。
京都府の新人大会では決勝で最大のライバル東山に1-3で敗れ準優勝。インターハイ京都府予選では準々決勝で大谷に0-1で惜敗しました。
米澤一成監督は「タイトルが取れない中で、選手たちも自信をなくしていた。苦労した年だった」と振り返ります。
こうして迎えた選手権京都大会。準々決勝の相手は再び大谷でした。前半34分にセットプレーから大谷に先制を許し、インターハイ予選と同じくリードされる展開となりました。
京都橘は試合終了間際の後半39分、途中出場のFW久保瞬選手(3年)のロングスローからMF桐原惺琉選手(3年)がゴールを決めて同点とします。
さらにアディショナルタイムにも久保選手のロングスローからキャプテンのDF宮地陸翔選手(3年)が頭で押し込んで逆転し、劇的な勝利でリベンジを果たしました。
決勝は3年連続で東山と激突しました。新人大会、インターハイ京都府予選を制した東山の強力な攻撃を受け、京都橘は何度もピンチを迎えます。
それでもGK平誠都選手(2年)がスーパーセーブを連発し得点を許しません。試合は両チーム無得点のまま延長戦でも決着せずPK戦へ。ここでも平選手がPKを止め、優勝に大きく貢献しました。「やってきた中で最高のプレーができた。仲間が最後まで守り切ってくれたおかげ」と試合を振り返った平選手。
苦しんだ先に京都橘が最後の1冠をつかみ、2大会連続11回目の全国出場を決めました。
4.中盤の運動量をベースとした堅守速攻
今年のチームは中盤の運動量をベースにした堅守速攻が特徴です。
夏以降、選手のコンバートで守備面を強化。去年からFWで主力だった宮地選手をセンターバックに起用したり、FWだった増井那月選手(3年)をサイドバックに配置したりすることで守備面に安定感が生まれました。
一方、最前線のFWには様々な組み合わせを試し、身長183㎝と高さのある伊藤湊太選手(2年)と50m6秒1とスピードのある高橋優選手(3年)のコンビを見出しました。
この前線と最終ラインをつなぐのがボランチの執行隼真選手(3年)と新谷杏士選手(3年)。2人の運動量が試合の行方を左右します。
5.DFに転向した主将の覚悟
キャプテンの宮地選手は前回大会でFWとして全国のピッチを経験しています。U-17日本高校選抜にも選ばれた実力者で今年のチームでも攻撃の中心でした。
しかし、夏にセンターバックに突然のコンバート。「前で点を取りたい。前でプレーしたい気持ちはあった」と宮地選手は当時の率直な気持ちを明かします。
それでも「チームのためにプレーしたい。もともとFWだったので、相手FWの動き出しやシュートを打ってくるタイミングが分かる」と経験を生かし、仲間から信頼を得るDFに成長しました。
米澤監督も「宮地がセンターバックにいるからゲームが締まる」と期待を寄せます。
抽選会で12月28日に行われる帝京との開幕戦を引き当てた宮地選手。「誰もが憧れている場所でできることに感謝してプレーしたい。京都橘として初優勝を目指して頑張りたい」と意気込みます。
91回大会の準優勝を越え、チーム初の全国制覇へ。勝利の美酒(※お酒は二十歳になってから)を味わうことはできるのでしょうか。
(取材・文 高校サッカー選手権民放43社/KBS京都)