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【高校サッカー】公式カメラマンが語る「プレー写真を撮るコツ」

2024年12月27日 7:30
【高校サッカー】公式カメラマンが語る「プレー写真を撮るコツ」
手がけてきた年鑑と高校サッカー公式カメラマン小林洋さん
12月28日(土)に開幕する冬の風物詩、全国高校サッカー選手権大会。公式カメラマンとして、40年以上にわたって大会を撮影し続けている小林洋さんに、「高校サッカーを撮影するコツ」について聞きました。

――スタジアムでは撮影している方をお見かけすることがあるのですが、高校サッカーをうまく撮影するコツはありますか?

いい写真を撮るコツはね、1個しかないです。撮りまくることです。自分が撮りたいと思うものだけを、撮りまくることです。と言っても、カメラの性能に任せて、たくさん撮れば良いってことではないんです。

僕は時々高校生に教えたりするんですけど、まず写真を撮りたいと思ったら「カメラを置いてきなさい」っていつも言うんです。ファインダーで覗いたものを取ろうと思わないで、まずあなたの目で現実をしっかり見て、体中にそれを染み込ませていかないと、何も撮れないよって話をします。

しっかり自分の目で確認していくっていう作業を繰り返すってことですね。『ただ撮る』ことは簡単なんですよ。サッカーはボールがあるところを撮ってりゃなんとかなるんだから。でも「それでいいんですか?」って話ですよね。そうじゃないでしょ。選手たちが、やりたいと思ってることをプレーで発信してるんだから、もっとそれを受け止めようよっていうのが、僕の考え方です。

僕がもし撮影しているご家族の方に言うとしたら、まず息子さんのプレーをしっかり見てあげようよということですね。ファインダーじゃなくて、ご自身の目でしっかり見てあげようよと。選手がやりたいことが見えてきたら、それを撮ってあげればいいんじゃないのかなって僕は思います。

あと、自分の想いも大事ですよね。レンズを向けて構えてる中で、やっぱり被写体に自分の感情や感覚をぶつけていかないと返ってこないんですよ。それが、返ってきた時に反射的にシャッターが押せるっていう感じですね。「来てる来てる、そういうことね」みたいな感じになったら、バシバシシャッターを押せるんですよ。

それから、一番いいのは写真を選手に見せて「あの時のあの場面、あんた何考えてたの?」って会話をしていくことですよね。その場面をお互いが共有して会話できるネタをもたくさん持っているのが、幸せだと思いますね。

でも、集中してシャッター押しまくった結果、試合の内容を覚えてない可能性があるので要注意ですね。息子は見えてるようだけど、その試合で息子がどんな活躍をしようとしたのか、何をしようとしたのか記憶に残らない可能性があります。

僕も本当に興奮してくると撮影してないことが多いですからね。96回大会の時も、前橋育英の山田耕介監督が座るベンチの横にいて、あんまり嬉しくて、初優勝の瞬間はシャッターを切るの忘れてました。本当はそうじゃいけないんだろうけど。そのぐらい感情移入してましたね。

12月29日(日)の1回戦、群馬・前橋育英は鳥取・米子北と駒沢陸上競技場で対戦します。
最終更新日:2024年12月27日 7:30
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