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「生きる意味が芽生えた」渡部暁斗 息子の存在とメダルへの思い

2022年2月19日 16:57
「生きる意味が芽生えた」渡部暁斗 息子の存在とメダルへの思い
2つの銅メダルを獲得したノルディック複合・渡部暁斗選手
北京五輪ノルディック複合で2つの銅メダルを獲得した渡部暁斗選手(33)が18日、日本テレビ「news zero」のインタビューに応じました。

渡部選手は今回、個人ラージヒル、団体で銅メダルを獲得。2014年のソチ五輪、18年の平昌五輪の個人ノーマルヒルでの銀メダルと合わせて、4つのメダルを手にしました。

そして団体でのメダル獲得は、1994年のリレハンメル五輪以来28年ぶりの快挙でした。

◇以下、news zeroインタビューの内容

――改めて2つのメダルを首から下げて、どんな気持ちですか?

「メダルを取れなくてもおかしくないと思っていたので、こうして2つメダルが取れたのは安堵(あんど)の気持ちが大きいですね」

――団体のメダルの価値、意味というのは大きいですか?

「個人戦で取るメダルは自分もうれしいですし、サポートしてくれた人も喜んでくれます。でもその一方でチームメートたちがメダルを取れずに帰って行く姿を見ると、チーム戦の方がみんなで喜べていいなというのはあって。チーム戦は4人分メダルをもらえるし、チームのスタッフの喜び方も全然違うんですよね。だから僕の中では後ろめたさが無いんですよ。それがすごく大きくて、みんなで協力して取ったんだという感覚を共有できる瞬間が団体戦の良さです。それは個人戦のメダルとは全然違います」

――今回は1位に0.6秒差で銅メダル。あと本当に少しのところまできたと思うんですが、改めていかがでしたか?

「やっぱり取れないんだなっていう感じですね。秒差はもう関係ないです」

――0.6秒という差はどのような距離間なんでしょうか?

「最後のストレートは、僕の中ではすごく遠かったですね。0.6秒差って聞くまでは、3秒差くらいあると思ってました」

――4秒差から縮まったことについて、世界一との差もまた縮まったという思いはありますか?

「実はあんまりそういう感覚が無いんですよね。タイム差じゃなくて、自分の中に残ってるものがやっぱり結局変わらない…。だから0.6秒差だろうが4秒差だろうが、10秒差だろうが、20秒差だろうが、たぶん変わらないんだなって感じですね。取れないものは取れない思いです」

――おととしの11月、第1子となる長男が誕生しました。お子さんはどういう存在ですか?

「僕の人生の中ではすごく大きな変化。それまでは自分の存在に対してそんなに興味がありませんでした。でも息子が生まれたことによって、彼の成長を最低限見届けなきゃいけない責任感や見届けたいという気持ち、生きる意味みたいなものが自分の中に芽生えてきています」

――次の6大会連続五輪出場というのも、可能性として残っていますか?

「可能性は十分にあります。ただ家族ができたことで、そっちに時間を使いたいなと思うようになったので、確実にやり方は変わると思います。今までのように鬼の形相ではなくて、もうちょっと柔らかい表情で競技に取り組めたらいいんじゃないかなっていう気持ちはありますね」