「違う角度から複合を盛り上げたい」渡部暁斗“家族”のような仲間と臨んだ北京五輪
北京五輪で2つの銅メダルを獲得し、取材に応じる渡部暁斗選手【写真:アフロスポーツ】
◇北京五輪・スキー・ノルディック複合
スキー・ノルディック複合団体と個人ラージヒルで銅メダルを獲得した渡部暁斗選手が18日、一夜明け会見に臨みました。
■以下、渡部暁斗選手インタビュー
――今の気持ちは
「今回の五輪は、ノルディックコンバインド(複合)の面白いレースを日本の皆さんに見ていただけたんじゃないかな、と思える手応えがありました。そこはすごくうれしいです。五輪ではメダルを取ることも大事ですけど、いいレースをして競技の面白さを伝えられるというのも大事だと改めて思いました」
――ご自身の前半のジャンプは悔しい部分もあったと思います。一方で弟の善斗さんが後半のクロスカントリーでチームの勢いにつながる走りを見せました。兄弟として感じるところは?
「正直何も感じていないです(笑)。我々は、年中一緒に過ごしていて、他のチームよりも圧倒的に一緒に過ごす時間が長いじゃないですか?昨年は5か月も家に帰らずにみんなで一緒にいて、今年も11月から今まで家に帰っていない。もう選手はみんな兄弟のように感じるし、スタッフも含めて家族みたいな感じなんですよね。だからもちろん善斗もそうですけど、永井(秀昭)さんも(山本)涼太もいいジャンプといい走りをしてくれて…。みんなが家族みたいな感覚で僕は昨日臨んでいたので、善斗に対して何か特別な感情はないですね(笑)。そのぐらい一緒にいるということです、我々は!」
――以前、ファンとして見た時に自分という選手はそんなに好きじゃないと言っていました。その思いに変化は?
「客観的に見たときに、まだそんなに好きにはなれないかなという感じはしますね。僕がファン目線で見るなら、ビンツェンツ・ガイガー選手(ドイツ)とかヨハンネス・ラムパルター選手(オーストリア)の方がいい選手だなと思います。(自分のことを)いい選手だなとは思いますけど、ベストではないですね(笑)」
――リベレツ(*2009年、チェコ・リベレツで行われた世界選手権団体で日本は金メダル獲得)から長年チームとして上を目指してやってきた中で取り組んだことは?
「リベレツから具体的に取り組んできたことに関しては、正直ここで話しきれるような内容ではないですね。でも自分の心持ちの話をさせてもらうと、自分が好きだなって思えるような選手になるためには、どういうレースをしたら面白くなるか、応援してもらえるような走りができるか、どういう選手が勝つのにふさわしいかとかを常に考えていて。それを体現できるように本当にいろんなことに取り組んできました。それが最終的には僕の生き様としてレースに現れるようになってきているんじゃないかなと思います」
――2009年の世界選手権出場時は大学2年生。若い時に経験を積むことの大切さとは?
「当時はジャンプの調子がものすごく悪いシーズンでした。そういう中でも先輩たちに引っ張ってもらってメダルが取れて、こんな自分でも成功することがあるんだという体験は本当に自信につながりました。今回、涼太はメダルを取ったし、(谷地)宙選手はメンバーには選ばれなかったけど、我々が(メダルを)取る瞬間を間近で見ています。そういう成功体験を積むことは確実に成長につながっていくなと思います」
――14年のソチ五輪、18年の平昌五輪では個人ラージヒルで銀メダル。今回の北京五輪では銅メダル2つという結果に。金メダルへの思いは?
「完全に諦め切れたというふうに、すっきり終わってはいません。ただ今年で決めると自分でもプレッシャーをかけてやってきたので、とりあえず今は先のことは考えられないですね」
――今回コンバインドに集まった注目をW杯につなげるためにどんなパフォーマンスをしたいですか?
「過去2大会でメダルを獲得してきて1つ思うのは、結果を出すだけではダメなんだなと。今回は一区切りとして自分のことに集中して結果を出しにいきました。この先続けるかどうかは別にして、違う角度からコンバインドを盛り上げられればいいのかなとちょっと考えています。それはW杯で戦って結果を出すことかもしれないんですけど。コンバインドって結構マニアックで、見方がわかってくるとより楽しくなってくる競技なので、結果を出すだけだと今までと同じように注目は集まらなくなっていっちゃうと思うんですよ。だからSNSやYouTubeとか。メディアの皆さんに協力してもらってコンバインドの面白い見方を発信して、自分たちやこれから若い世代が出す結果を、より面白く見られるようにトライしてもいいのかなと考えています」
――現状のコンバインドの競技環境については?
「ヨーロッパに比べれば日本の競技環境はそんなにいいものとは言えないかもしれないですけど、僕は環境じゃないと思っているので。例えば僕が学生の時は海外に留学するという選択肢もある中で、国内で、しかも地元の白馬でやることに意味があると思って、そこでトレーニングを積んでしっかり結果を出してきたという自負があります。環境よりも工夫でチームを強くすることの方が大事なんじゃないかなと思っています」
スキー・ノルディック複合団体と個人ラージヒルで銅メダルを獲得した渡部暁斗選手が18日、一夜明け会見に臨みました。
■以下、渡部暁斗選手インタビュー
――今の気持ちは
「今回の五輪は、ノルディックコンバインド(複合)の面白いレースを日本の皆さんに見ていただけたんじゃないかな、と思える手応えがありました。そこはすごくうれしいです。五輪ではメダルを取ることも大事ですけど、いいレースをして競技の面白さを伝えられるというのも大事だと改めて思いました」
――ご自身の前半のジャンプは悔しい部分もあったと思います。一方で弟の善斗さんが後半のクロスカントリーでチームの勢いにつながる走りを見せました。兄弟として感じるところは?
「正直何も感じていないです(笑)。我々は、年中一緒に過ごしていて、他のチームよりも圧倒的に一緒に過ごす時間が長いじゃないですか?昨年は5か月も家に帰らずにみんなで一緒にいて、今年も11月から今まで家に帰っていない。もう選手はみんな兄弟のように感じるし、スタッフも含めて家族みたいな感じなんですよね。だからもちろん善斗もそうですけど、永井(秀昭)さんも(山本)涼太もいいジャンプといい走りをしてくれて…。みんなが家族みたいな感覚で僕は昨日臨んでいたので、善斗に対して何か特別な感情はないですね(笑)。そのぐらい一緒にいるということです、我々は!」
――以前、ファンとして見た時に自分という選手はそんなに好きじゃないと言っていました。その思いに変化は?
「客観的に見たときに、まだそんなに好きにはなれないかなという感じはしますね。僕がファン目線で見るなら、ビンツェンツ・ガイガー選手(ドイツ)とかヨハンネス・ラムパルター選手(オーストリア)の方がいい選手だなと思います。(自分のことを)いい選手だなとは思いますけど、ベストではないですね(笑)」
――リベレツ(*2009年、チェコ・リベレツで行われた世界選手権団体で日本は金メダル獲得)から長年チームとして上を目指してやってきた中で取り組んだことは?
「リベレツから具体的に取り組んできたことに関しては、正直ここで話しきれるような内容ではないですね。でも自分の心持ちの話をさせてもらうと、自分が好きだなって思えるような選手になるためには、どういうレースをしたら面白くなるか、応援してもらえるような走りができるか、どういう選手が勝つのにふさわしいかとかを常に考えていて。それを体現できるように本当にいろんなことに取り組んできました。それが最終的には僕の生き様としてレースに現れるようになってきているんじゃないかなと思います」
――2009年の世界選手権出場時は大学2年生。若い時に経験を積むことの大切さとは?
「当時はジャンプの調子がものすごく悪いシーズンでした。そういう中でも先輩たちに引っ張ってもらってメダルが取れて、こんな自分でも成功することがあるんだという体験は本当に自信につながりました。今回、涼太はメダルを取ったし、(谷地)宙選手はメンバーには選ばれなかったけど、我々が(メダルを)取る瞬間を間近で見ています。そういう成功体験を積むことは確実に成長につながっていくなと思います」
――14年のソチ五輪、18年の平昌五輪では個人ラージヒルで銀メダル。今回の北京五輪では銅メダル2つという結果に。金メダルへの思いは?
「完全に諦め切れたというふうに、すっきり終わってはいません。ただ今年で決めると自分でもプレッシャーをかけてやってきたので、とりあえず今は先のことは考えられないですね」
――今回コンバインドに集まった注目をW杯につなげるためにどんなパフォーマンスをしたいですか?
「過去2大会でメダルを獲得してきて1つ思うのは、結果を出すだけではダメなんだなと。今回は一区切りとして自分のことに集中して結果を出しにいきました。この先続けるかどうかは別にして、違う角度からコンバインドを盛り上げられればいいのかなとちょっと考えています。それはW杯で戦って結果を出すことかもしれないんですけど。コンバインドって結構マニアックで、見方がわかってくるとより楽しくなってくる競技なので、結果を出すだけだと今までと同じように注目は集まらなくなっていっちゃうと思うんですよ。だからSNSやYouTubeとか。メディアの皆さんに協力してもらってコンバインドの面白い見方を発信して、自分たちやこれから若い世代が出す結果を、より面白く見られるようにトライしてもいいのかなと考えています」
――現状のコンバインドの競技環境については?
「ヨーロッパに比べれば日本の競技環境はそんなにいいものとは言えないかもしれないですけど、僕は環境じゃないと思っているので。例えば僕が学生の時は海外に留学するという選択肢もある中で、国内で、しかも地元の白馬でやることに意味があると思って、そこでトレーニングを積んでしっかり結果を出してきたという自負があります。環境よりも工夫でチームを強くすることの方が大事なんじゃないかなと思っています」