【高校サッカー】秋田・明桜が悪天候の決勝で雨と風を味方に 連覇で全国へ 選手権初白星ねらう
連覇で全国出場を決めた秋田・明桜高校
第102回全国高校サッカー選手権大会は12月28日に開幕します。山形と並び全国最速で選手権出場を決めた秋田代表・明桜は、2回戦で沖縄代表の名護と対戦します。
秋田県大会は22チーム723人のサッカー部員が全国大会を目指しました。今回は秋田代表・明桜高校の秋田県大会決勝を振り返ります。
◇ ◇ ◇
秋田県大会決勝は、近年力をつける新たな風・明桜の「青」と、伝統校・秋田商業の「赤」がぶつかりました。両者が決勝で対戦するのはこれで3年連続。おととしは秋田商業が1対1の末PKを制し、去年は明桜が2対1で勝利しました。1勝1敗で迎えた県大会決勝での3戦目です。
明桜はフォーメーションの基本が4-1-4-1で、守りではボランチが2枚の4-2-3-1に可変するなど、ポジションをローテーションして流動的に動き「グループで関わり続ける」サッカーです。1年生から正GKの川村晃生(こうせい)主将や、可変システムのキーマン・MF外山蓮(れん)選手、エースストライカーの臼田成那(せな)選手と、攻守で層が厚い明桜。
一方、伝統の走るサッカーに細かく繋ぐパスサッカーが融合した秋田商業はエース泉海斗選手が準決勝の2ゴールを含めた今大会5ゴールの活躍で勝ち進み、決勝に駒を進めました。
雨が降り続く中行われた決勝のピッチは水が浮き、ボールが止まる箇所が多く、両チームの選手が球際で競り合う度に激しく水しぶきが上がりました。前半4分、いきなり試合が動きます。明桜のエース臼田成那選手がペナルティエリアの外から放ったシュートは水を含んだピッチで秋田商業ゴールキーパーの前で止まります。そこを見逃さず、しっかりとゴール前に詰めていた2年生のMF廣森輝星(きあら)選手が押し込みました。雨を味方につけ開始早々に先制した明桜は、さらに風も味方につけます。
前半36分、コーナーキックのキッカーMF中山煌斗(きらと)選手は風向きを読み、右からのコーナーキックを、利き足とは逆の左足で蹴りました。ゴールに向かって巻いて蹴ったボールは風に乗りそのままゴールへ吸い込まれました。明桜が追加点を奪い、前半2-0とリードします。
雨で水が溜まったピッチと強い風を考慮してシンプルに前線のスペースを利用した明桜は後半もペースを握ると、守備でも秋田商業のシュートを試合を通してわずか1本に抑え、無失点での勝利。県大会4試合を戦い22得点無失点で優勝、2大会連続6回目の全国大会出場を決めました。
1年生レギュラーだった川村主将は、試合後「1年生だったおととしの決勝では自分の判断ミスで秋田商業に敗れた。あのときの3年生のことを今でも考えてプレーしている。過信を捨て、隙を与えないようにプレーした」と話しました。
また、コーナーキックから直接ゴールを決めた中山煌斗選手は全国選手権に向けて、この夏、出身地である北海道旭川市で行われたインターハイでの悔しい思いを振り返りました。
インターハイ初戦で帝京長岡(新潟)に1-5で大敗し「地元で、親や中学時代のチームメイトの前で負けて悔しかった。帝京長岡、強かったねと言われたとき『負けて当然、仕方ない』と言われたように感じて悔しかった。もう一度全国のピッチでプレーして今度は必ず白星を挙げたい」と冬の大舞台に向けて意気込みます。
明桜の原美彦(よしひこ)監督は「今年のチームには『フィールド内のリーダーは誰だ?』と言い続けてきた。しかし夏にチームが変わった。県外の強豪校に負けては試合後に走り、負けては走りを繰り返し走力が上がり一体感も出た。なにより『全国に出たい』ではなく『全国で勝ちたい』に意識が変わった」と話します。原監督自身は2018年の就任以降3回目の全国選手権です。
前回大会の全国選手権。初戦で飯塚(福岡)に0-1で負けてからすぐに、今シーズンのテーマを「超越」と定めた明桜。今回こそ悲願の初白星を目指します。
明桜は秋田経法大附属時代に1984年度の第63回大会で初出場。以降いまだ全国選手権で白星を挙げられていません。今回6回目の出場での初勝利から躍進を狙います。明桜の初戦は12月31日、沖縄県代表の名護との2回戦です。
(取材・文 高校サッカー選手権民放43社/ABS秋田放送)
秋田県大会は22チーム723人のサッカー部員が全国大会を目指しました。今回は秋田代表・明桜高校の秋田県大会決勝を振り返ります。
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秋田県大会決勝は、近年力をつける新たな風・明桜の「青」と、伝統校・秋田商業の「赤」がぶつかりました。両者が決勝で対戦するのはこれで3年連続。おととしは秋田商業が1対1の末PKを制し、去年は明桜が2対1で勝利しました。1勝1敗で迎えた県大会決勝での3戦目です。
明桜はフォーメーションの基本が4-1-4-1で、守りではボランチが2枚の4-2-3-1に可変するなど、ポジションをローテーションして流動的に動き「グループで関わり続ける」サッカーです。1年生から正GKの川村晃生(こうせい)主将や、可変システムのキーマン・MF外山蓮(れん)選手、エースストライカーの臼田成那(せな)選手と、攻守で層が厚い明桜。
一方、伝統の走るサッカーに細かく繋ぐパスサッカーが融合した秋田商業はエース泉海斗選手が準決勝の2ゴールを含めた今大会5ゴールの活躍で勝ち進み、決勝に駒を進めました。
雨が降り続く中行われた決勝のピッチは水が浮き、ボールが止まる箇所が多く、両チームの選手が球際で競り合う度に激しく水しぶきが上がりました。前半4分、いきなり試合が動きます。明桜のエース臼田成那選手がペナルティエリアの外から放ったシュートは水を含んだピッチで秋田商業ゴールキーパーの前で止まります。そこを見逃さず、しっかりとゴール前に詰めていた2年生のMF廣森輝星(きあら)選手が押し込みました。雨を味方につけ開始早々に先制した明桜は、さらに風も味方につけます。
前半36分、コーナーキックのキッカーMF中山煌斗(きらと)選手は風向きを読み、右からのコーナーキックを、利き足とは逆の左足で蹴りました。ゴールに向かって巻いて蹴ったボールは風に乗りそのままゴールへ吸い込まれました。明桜が追加点を奪い、前半2-0とリードします。
雨で水が溜まったピッチと強い風を考慮してシンプルに前線のスペースを利用した明桜は後半もペースを握ると、守備でも秋田商業のシュートを試合を通してわずか1本に抑え、無失点での勝利。県大会4試合を戦い22得点無失点で優勝、2大会連続6回目の全国大会出場を決めました。
1年生レギュラーだった川村主将は、試合後「1年生だったおととしの決勝では自分の判断ミスで秋田商業に敗れた。あのときの3年生のことを今でも考えてプレーしている。過信を捨て、隙を与えないようにプレーした」と話しました。
また、コーナーキックから直接ゴールを決めた中山煌斗選手は全国選手権に向けて、この夏、出身地である北海道旭川市で行われたインターハイでの悔しい思いを振り返りました。
インターハイ初戦で帝京長岡(新潟)に1-5で大敗し「地元で、親や中学時代のチームメイトの前で負けて悔しかった。帝京長岡、強かったねと言われたとき『負けて当然、仕方ない』と言われたように感じて悔しかった。もう一度全国のピッチでプレーして今度は必ず白星を挙げたい」と冬の大舞台に向けて意気込みます。
明桜の原美彦(よしひこ)監督は「今年のチームには『フィールド内のリーダーは誰だ?』と言い続けてきた。しかし夏にチームが変わった。県外の強豪校に負けては試合後に走り、負けては走りを繰り返し走力が上がり一体感も出た。なにより『全国に出たい』ではなく『全国で勝ちたい』に意識が変わった」と話します。原監督自身は2018年の就任以降3回目の全国選手権です。
前回大会の全国選手権。初戦で飯塚(福岡)に0-1で負けてからすぐに、今シーズンのテーマを「超越」と定めた明桜。今回こそ悲願の初白星を目指します。
明桜は秋田経法大附属時代に1984年度の第63回大会で初出場。以降いまだ全国選手権で白星を挙げられていません。今回6回目の出場での初勝利から躍進を狙います。明桜の初戦は12月31日、沖縄県代表の名護との2回戦です。
(取材・文 高校サッカー選手権民放43社/ABS秋田放送)