10年ーJOC山下会長「真摯に向き合う」
日本オリンピック委員会(JOC)の山下泰裕会長(63)は11日、「東日本大震災から10年に寄せて」と題したメッセージを発表しました。
以下、原文のままです。
東日本大震災から10年となる3月11日を迎えました。改めて犠牲になられたすべての方々に対し、謹んで哀悼の意を表します。また、ご家族やご友人など、大切な方々を失われた方々、今なお様々な形で生活に支障がある方々に心よりお見舞い申し上げます。
東日本大震災発生後、多くのアスリート、スポーツ関係者は、被災者の方々のために何かできないかという思いと、このような状況下で果たして自分たちはスポーツに全力で取り組んで良いのか、という気持ちの間で自問自答を繰り返しました。
そのようなアスリート、スポーツ関係者の声を受け、JOCではまず被災地へ医師、リハビリを行うトレーナー等からなるJOC医療支援チームを派遣するとともに、各競技団体に呼び掛けて救援物資を届けました。その後、現地の方々とのやり取りを通じて、オリンピアンが現地の皆様とスポーツを通じて交流する「オリンピックデー・フェスタ」を企画、2011年10月10日に第1回を開催し、これまでに青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県等で、計152回開催しています。参加者、特に子供たちにその一瞬だけは笑顔になってほしい。そんな思いで活動を続け、これまで延べ24,000人を超える方に参加いただきました。参加したアスリートはオリンピアン、パラリンピアンを含め延べ867人にのぼります。また、2012年のロンドンオリンピック後には、オリンピックとパラリンピックのメダリストが、福島県、宮城県、岩手県を訪問し、多くの方と直接触れ合う機会をいただきました。
これらの活動を通じて多くのアスリートから聞こえてきたのは、子供たちをはじめ多くの方の笑顔に、逆に自分たちが背中を押されたという声です。私たちは現地での活動を通じて、スポーツが社会に支えられているということ、アスリートが全力でプレーする姿が人の心を一瞬でも前向きにし得ることを改めて学びました。
この夏、東京だけでなく、野球、ソフトボールが福島で、サッカー予選が宮城・鹿島で行われます。東京2020大会を目指すすべてのアスリートが、スポーツができる喜びをかみしめながら、自身のパフォーマンスを通じて、誰かを元気にしたい、そんな思いで、今できる準備に全力で取り組んでいます。
スポーツに携わる者として、復興そして社会に対しスポーツが果たすべき役割と真摯に向き合いながら、引き続きアスリート、関係者と共に歩んでまいります。
写真:日刊スポーツ/アフロ