オリンピアンが語る「多様性と調和」とは
オリンピアン・パラリンピアンらが、東京大会が掲げる「多様性と調和」をテーマに語り、肌の露出が多い女子選手のユニホームの問題や、“ママアスリート”と注目されたことがいやだったなど、複雑な心境を明かしました。
これは日本オリンピアンズ協会が開催したもので、1964年の東京大会で体操団体銅メダルを獲得した千葉吟子さん(83)をはじめ、オリンピアン・パラリンピアンら7人が登壇。今大会が掲げる「多様性と調和」をテーマに、今後の課題を語りました。
2012年ロンドン大会、新体操代表のサイード横田仁奈さんは、今大会でドイツの体操女子選手が全身を覆うユニタードを着用したことについて、東京大会をきっかけに、女性自身が自由に選択できるよう、改善策が進むことを求めました。
新体操ロンドン五輪代表・サイード横田仁奈さん「表から見られる性的な目だったりとか、いま体操で取り上げられているものも、きっと、新体操にもくる問題だと思っているので、選手・アスリートが自分の演技パフォーマンスのために好きなものを着られる、よりいっそう競技を高められるために、どんどん改善していかなきゃいけない」
また、2002年ソルトレークシティー大会など、3回の冬季オリンピックでカーリング代表の小笠原歩さんは、出産後に競技に復帰し、「ママアスリート」と呼ばれて注目されたことへの率直な気持ちを話しました。
冬季五輪3大会カーリング代表・小笠原歩さん「正直いやでした。どんな取り上げ方にせよ、どうしてもマイナー競技ですから、この競技を知ってもらえるきっかけのひとつになるのであれば、ぐっとこらえて乗り越え、今があります。『母親アスリート』という名前があまり好きではないので、母親だから、結婚したから、年齢が、という時代ではない。カーリングのコミュニティー自体が世界的にも母親の選手がたくさんメダルをとっていて、その中で私たちも育っていたので、そういう風潮が日本でも他の競技でも広まってもらえたら嬉しいです」
また、2日夜、重量挙げ競技でニュージーランド代表、ローレル・ハッバード選手がトランスジェンダー選手として、史上初めて五輪に出場します。これについて、フェンシング元女子日本代表でトランスジェンダーの杉山文野さんは。
フェンシング元女子日本代表・杉山文野さん「話題となった重量挙げのハッバード選手は、IOCの規定を守った上で出場しています。IOCの規定をより合理的で、よりみんなが納得できる条件にしていくため、建設的な批判は大事なのかもしれないが、ルールを守って出場を決めている選手に対して、不公平だと目を向けるのはあってはならないと思います」
(取材・文=DX取材部解説委員・news every.キャスター小西美穂)