パラ卓球・岩渕幸洋「目標は金メダル以上」
今月24日に開幕する東京パラリンピック。日本代表の旗手をつとめるのはパラ卓球の岩渕幸洋選手です。生まれつき足首が細く、内側に曲がってしまう障がいが両足にあり、左足には装具をつけてプレーしています。
岩渕選手は自身の障がいについて「左足の方の足首は自分の力でまったく動かすことができなくて、自分の体に対して左側のボール、バックハンドは少しハンデが出ます」と話しますが、それを補う見事なフットワークで激しいラリーをこなし、パラ卓球選手として初めて健常者がプレーする実業団リーグに所属する実力者です。
「足首が使えない分、違うところの関節の動きをより大きく出すことによってプレーをできるようにする。僕の体の特性は左の足首が固定されている分、左の股関節が右の股関節より大きく動く。足りないところは動かせる部分で補っていきます」岩渕選手の健常者にも負けない動きは、自分の障がいと向き合い続けてきたからこそ得たものでした。
そんな岩渕選手の強みはなるべく台の近くに張り付き、攻撃的に戦うスタイル。これも自分の弱点を補うためでした。
「台から下がってしまうと動く範囲が大きくなってしまって自分のハンデが出やすくなってしまうので、障がいを強みに変えるという意識であえて台の近くでプレーします」
そして岩渕選手と同じクラスでも、障がいの箇所は人によって異なります。例えば世界ランク2位のマ・リン選手(中国)は右腕が欠損していて、ラリー中バランスをとるのが困難だという弱点を持ちます。その違いこそが選手の個性であり、パラ卓球の面白さだと岩渕選手は言います。
「障がいがあるから、そこをかわいそうだから攻めないとかはむしろフェアではなくて、パラ選手たちも自分のどこに障がいがあって試合になったらどこを攻められるっていうのは受け入れて臨んでいます。障がい上届かないところを狙ったりとか他のスポーツと同じように駆け引きっていう部分にも注目して見ていただけると面白さっていうのが伝わるんじゃないのかな」とパラ卓球の魅力を語りました。
そして先日閉幕した東京オリンピック。岩渕選手は、卓球・混合ダブルスで金メダルを獲得した水谷隼選手と伊藤美誠選手に刺激を受けたそうで「金メダルっていう瞬間はやっぱり一番心に残った。本当に家でテレビの前で立ち上がってました」と振り返りました。
そんな岩渕選手がパラリンピックで目指すのは「僕の東京パラリンピックの目標は金メダル以上。もちろん金メダルを取るということは簡単なことではないと思うんですけれども、その結果の先にパラスポーツの魅力だったり、パラリンピックの凄さ偉大さっていうのを伝えられるパフォーマンスを目指して頑張っていきたいです」と抱負を語りました。
写真:SportsPressJP/アフロ