東京五輪代表対決 伊藤が相澤に勝利
◇陸上 2021八王子ロングディスタンス(27日・八王子市上柚木公園陸上競技場)
27日に行われた、陸上・10000mの競技会、八王子ロングディスタンス。気象条件等のコンディションに恵まれることが多く、国内トップレベルの実業団ランナーが多数出場することなどから、好記録が狙えることで知られています。
6組目には、東京五輪10000m代表の相澤晃選手(24・旭化成)や伊藤達彦選手(23・Honda)をはじめ、トップランナーが集結しました。
相澤選手(東洋大出身)と伊藤選手(東京国際大出身)は同学年のライバル。2020年の第96回箱根駅伝・花の2区では、約14.5キロにもおよぶデットヒートを繰り広げ、記憶に残る名勝負を演じました。これが、陸上ファンの間では“ランニングデート”などと話題を呼びました。
社会人になった相澤選手と伊藤選手は、同年12月の日本選手権10000mでも再戦。箱根駅伝での勝負に続き、この時も相澤選手に軍配が上がりました。
そろって東京五輪10000mの代表となった2人ですが、大舞台では、相澤選手が17位、伊藤選手は22位と、世界との差を痛感する結果に。
この日、東京五輪後、初の対決が実現。スタート直後、積極的なレースを見せたのは相澤選手。外国人選手が引っ張る先頭集団でレースを進めます。
一方、位置取りを失敗したという伊藤選手でしたが、800m付近でスルスルと上がってくると、2人が横に並んで走る4度目の“ランニングデート”姿も見られました。
その後、相澤選手の前に出たのは伊藤選手。日本人トップ集団の中でレースを進め、外国人選手の前に出る場面も。外国人選手が激しくペースを上げ下げする中、「東京五輪よりも(ペースの)上げ下げがあった中で、全然苦しくなく対応できた」という伊藤選手。
圧巻だったのがラスト1周。残り400mを告げる鐘が鳴ると、伊藤選手の真骨頂である、ラストスパートがさく裂。
来年7月のオレゴン世界選手権の参加標準記録(27分28秒00)にはわずかに及びませんでしたが、27分30秒69の好タイムで日本人トップの全体4位となりました。
東京五輪代表対決を制した伊藤選手はレース後、「最初ペースが結構遅かったので、標準(突破は)今日は無理かなと思っていた。最後の最後でいけそうだなと思ったので切り替えたが、間に合わなかったので、もっと攻めたレースができればよかった」と反省を口にした上で、「次のレースでは日本記録はもちろん、26分台を狙っていきたい」と意気込みました。
相澤選手とのレースについては、「一緒に標準を切れたらよかったが、2人ともだめだったので、次のレース、また一緒になる時は2人で好記録が出せるように頑張りたい」と語りました。
一方、27分58秒35で20位となった相澤選手は、26分台に向けての練習を始めたところだといい、練習不足を課題にあげました。
「伊藤はしっかり27分30秒前後でまとめたので、やっぱりさすがだなと思ったし、次のレースでは負けないように頑張りたい」と次戦での伊藤選手との対決に意欲を見せました。
◇相澤選手と伊藤選手のこれまでの“ランニングデート”
・2020年1月箱根駅伝2区
・2020年12月日本選手権10000m
・2021年7月東京五輪10000m決勝
※3レースとも相澤選手が伊藤選手に勝利