大学スポーツ市場はMLBに匹敵の驚愕規模
アメリカの大学スポーツ市場は日本とはけた違いでばく大。その市場規模は、8,000億円とも言われ、MLBと匹敵するほどです。アメリカで人気No.1スポーツのNFLは、2017年に売り上げが1兆円を超えていますが、アマチュアのカレッジスポーツもその巨大コンテンツに肩を並べていると言っても過言ではありません。
それではなぜ大学スポーツはそんなに収益があるのでしょうか。商業的成功の要因は、大学スポーツの統括組織であるNCAA(全米大学体育協会)の存在が大きいです。このNCAAには1,000以上の大学が存在していて、NCAAが出している情報によれば、年間で1,000億円ほどの売り上げを創出し、その60%の約600億円がディビジョン1加盟校とカンファレンスに直接分配されています。
NCAAの年間収入のほとんどは、ディビジョン1男子バスケットボール選手権の放映権およびマーケティング権、全選手権のチケット販売権で占められているといいます。ちなみに、日本国内では7年ぶりに放送されるディビジョン1カレッジフットボールのプレイオフとボウルゲームは、NCAAからは独立して運営されているため、これらのイベントからNCAAには収益が入りません。
巨額の大金を生み出すカレッジスポーツの中でも、アメリカンフットボール部が大学にとって有益となっています。特に強豪校であればなおさらで、世界で最も収益性の高い大学組織の一つだと言えるかもしれません。全国紙「USAトゥデイ」と教育省が集めたデータによれば、2016年には24大学が体育局から100億円以上の収入を創出していたとのことです。
2017年の日本プロ野球の売り上げが約1,800億円と言われていることから考えると、プロ野球球団の1球団平均に近い数字を大学の体育局が稼ぎ出していることになります。全米の大学の中でも収入1位のテキサスA&M大学は約220億円。今年のローズボウルに出場するオハイオ州立大学は3位の約190億円、CFPセミファイナルに出場するミシガン大学も4位で約173億円の収益を得ました。その収益の中でもアメリカンフットボールによる収入が半分を超えている大学が大半です。
大学の収入はチケット、放映権、アパレルで占められていますが、興味深いのがどの大学も寄付金が収入のおよそ20%を占めているところです。前述のテキサスA&M大学は、約半分の104億円をドネーションで集めました。アメリカでは帰属意識が高く、母校に寄付する文化が色濃く根付いています。アメリカの道路を走っている車を見ると、大学のステッカーを貼るなど母校愛が強い人をよく見かけます。日本とは比較にならないビジネス規模のアメリカカレッジスポーツは、寄付金も大きな収益源となっているといえます。
写真:USA TODAY Sports/ロイター/アフロ