来秋したJリーグ野々村芳和チェアマンを直撃 新スタジアム問題をどう見ている?雪国のチームが懸念する秋春制への移行については?ブラウブリッツ秋田の評価は?
秋田市に、サッカー明治安田・Jリーグのトップ=チェアマンが訪れ、佐竹知事、秋田市の穂積市長と続けて面会しました。新スタジアムの建設計画についてそれぞれから直接説明を受け、議論の状況と建設候補地、いずれも前向きに評価しました。
午前9時半前、ブラウブリッツ秋田の岩瀬浩介社長とともに、県庁を訪れた、Jリーグの野々村芳和チェアマン。
野々村チェアマンは、全国の自治体や報道機関を訪れ、Jリーグが目指すことや、サッカーが地域にもたらす効果などについて直接説明する取り組みを続けていて、今回も、その一環です。
知事とやりとり
知事
「どうも…帯状疱疹で…」
チェアマン
「2年前にちょうどお伺いさせていただいて、2年ぶりですよ」
知事「お元気そうで。いろいろあってね…ま、いろいろね」
久々の再会の場で、両者は、積もる話、いろいろな話をしたとみられますが、報道機関に公開されたのは、両者が他愛もない話をした、わずか数分間の場面だけ。
県庁で囲み取材
およそ15分の面会を終えた野々村チェアマンは、この2年で様々な議論があった新たなスタジアムについて意見を交わしたことを明らかにしました。
野々村芳和チェアマン
「例えばスタジアムってことに関しても、行政、市と県と、それからクラブと、みんなで協力して進んでいきましょうと。この2年間いろんな話を地域でされながら、前に進んできているっていうお話も伺うことができたので、ここから先、僕はすごく楽しみかなと思いました」
カメラは、取材対応を終えた野々村チェアマンを引き続き追います。
野々村チェアマンが次に向かった先は、県庁の目と鼻の先にある、秋田市役所。
Jリーグで選手としてプレー(ジェフユナイテッド市原~コンサドーレ札幌)し、引退後は、北海道に拠点をおくコンサドーレ札幌のクラブ運営にも長く携わるなど、サッカーも、人生の経験も豊富な現在52歳の野々村チェアマンが知事に続いて面会したのは。
秋田市の穂積市長。先週、新たなスタジアムの建設場所を八橋地区に絞り込んだと市議会の中で表明していて、面会では、計画の進捗状況について市側が、直接報告しました。
こちらの面会も、ほぼ非公開で行われる予定でしたが、終了直前、トップ2人が八橋地区の眺めを確認する様子を報道機関に公開する一幕もありました。
八橋地区を見つめる野々村チェアマンと穂積市長
チェアマン
「駅からすぐですもんね、歩いても20分くらいできちゃう感じですか」
市長「ギリギリですね…向こうのほう見えないかな?向こうのほう見えない?議会棟のあっちから。斜めに。ちょっと向こう見てみますか」
新たなスタジアムの建設計画については、現在開会中の市議会の中で最大の焦点になっていますが、野々村チェアマンは、そうした議論の積み重ねが重要だとの考えを示しました。
野々村芳和チェアマン
「あそこにもしスタジアムができるとするなら、すごくいい景色になるんだろうなと思いながら見てましたけど」
記者
「率直に言って、早くつくってくれって思いますが?」
チェアマン「いやいや…まいろんなね、ルールというかJリーグの場合60クラブですし、世界の中のサッカーのルールみたいなものも当然あるので、リミットはあるとは思いますけど、やっぱり繰り返しになっちゃいますけど、地域の皆さんでクラブと、必要なものって何なんだろう、本当にこれ必要なのかどうかみたいな話をしていくっていうことが、結果どうあれ、地域のためになると思うので、スピード感はルールの中であれば何ら問題ないのかなと思います」
チェアマンにじっくり話を聞いてみた
このあと野々村チェアマンは、秋田放送のインタビューにも応じ、この新スタジアム、あるいは、ブラウブリッツをめぐる課題や期待など、様々な質問に答えました。
インタビューは、およそ45分間にわたり行われましたが、秋田放送からの質問のテーマは、主に3つです。
一つ目は、新スタジアムの建設をめぐる、クラブや県、秋田市の動向をどう見ているか、そして、建設の方向性が影響する、上位リーグへの参加資格=クラブライセンスの見通しについてです。
二つ目は、試合を開催する時期が今後変わり、雪国を拠点とするクラブからの懸念の声もある、「シーズン移行」について。
そして三つ目は、今年クラブ発足から15年の節目を迎えたブラウブリッツの活動の評価、そして今後への期待です。
特にスタジアムをめぐる動向や、シーズン移行はブラウブリッツのクラブのあり方に大きく関わるテーマです。スタジアムの動向を取材してきた担当記者とともに話を聞きました。
新スタジアムとライセンスは?
まずは新スタジアムを巡る長い議論とそれに伴うクラブライセンスについて
廣田アナ
「県民の声としてはだいぶ時間がかかっているなぁという」
チェアマン
「クラブだけでなんとかできる問題でも当然なくて、いろんな人たちと話をしていく、その話し合いの期間がちょっと長かったのかなというぐらいにしか僕は思ってなくて、ただその数年間多くの人が議論した証拠でもあると思うので、先ほど言ったサッカー界全体のルールに逸脱しない範囲で物事が進んでいくんであればすごく話し合いの期間はいい期間だったんじゃないかなと個人的には思ってます」
廣田
「ブラウブリッツ、ライセンス、大丈夫なのか?非常に心配しているんですけど」
チェアマン
「どうなんでしょうか、そもそもライセンスの認定をするのはJリーグではないので、外部の機関がどう判定するかということだと思うんですけど、ライセンスうんぬんというよりは前向きにいろんなことが動いているなという風に感じることができたので、すごくよくなっていくんじゃないかなとは思いました」
シーズン移行雪国どう支援?
■夏がシーズンオフとなる、いわゆる“秋春制”への移行。雪国への支援は?
Jリーグでは2年後のシーズンから8月初めに開幕し12月中旬から2月中旬に「ウィンターブレーク」=中断期間をはさみ、5月末にシーズンを終える、秋春制に移行します。
海外の強豪リーグとシーズンの期間を揃えると共に、夏場の猛暑の中での試合を避けるのが狙いです。
チェアマン
「日本が世界にでやっていくためにどうしなきゃいけないか、という答えの一つがシーズンを少し移すということだと思ってます。ちょっと前まではね、相手も暑いんだから俺らも同じ条件の中で相手に勝てばいいじゃん、これも一つの考え方だと思うけど、これはあくまでもドメスティックな、国内での隣町との戦いを考えた時の発想であって、今の選手たちはやっぱり世界のトップになるためにトップレベルになるためにどうプレーヤーとして生活していくかってことを考えるわけですよ」
Jリーグが示したヨーロッパの5つのリーグと、J1の選手の月ごとの走行距離を比較すると、シーズン中盤にむけて走行距離が増え、パフォーマンスが上がるヨーロッパに対し、Jリーグはシーズン中盤を迎える夏場に大きく運動量が落ちています。
チェアマン
「この差は埋めてあげないといけないと。日本の気候を含めた環境を考えた時にシーズンのスタートをずらすていうのはすごく重要かなと」
■開幕が8月となれば直前のキャンプ誘致が雪国・秋田でもできるかも!?
Jリーグでは、シーズン移行をきっかけに、地域のスポーツ環境の整備も進めていく考えです。
チェアマン
「キャンプを呼ぶってことは施設をより充実させないと呼べないんですよね。その施設ってキャンプ以外のときは地域の子ども達が使える環境がよりよくなるってことだと思うので、そんな変化がシーズンを変えることで起こると僕は期待はしてます」「秋田でそれが必要なら、そこに対してリーグは投資を、お金を出すし、場合によっては地域によってはあったかいスタジアムていうのを実現するために投資が必要ならそこにサポートはするし、いろんな考え方はある。ただその原資はいまあるもの、それからこれから収益を上げながら積んでいくものっていうのものはリーグの意思としては持っている」
クラブ発足15周年のブラウブリッツへの期待
チェアマン
「どうやってJ2のこのカテゴリー維持するかっていうことも大変な中で、よくこの数年間安定して定着してるなとは個人的には思います。スタジアムの熱量が高いかどうかってだいぶ勝敗に影響するんですよ。その熱量のあるいい作品を作り上げるためにも、地域のためになるクラブになるてことはすごく重要なのかなと思っていて、その挑戦とか取り組みは50年たっても100年経っても続けていかないといけないものだと思っていますので、そのへんをぜひ秋田らしくブラウブリッツらしくやっていただけたらなって思ってます」「スタジアムは話が少し前に進みそうなのでそのタイミングまでにどれだけ自力を蓄えておくか、はすごく大事かなと思います」
「新スタジアムに関する話は少し前に進みそう」と野々村チェアマンは話していましたがクラブライセンスの判定はJリーグとは別の独立した機関で行われます。どういう判断が下されるのか、来年に向けたクラブライセンスの審査結果は今月下旬に発表される見込みです。