パリ五輪メダル獲得へテーマは「アリゲーター」 アーティスティックスイミングのメイクは選手自ら? 小高茉緒アナが体験
技術力だけではなく、芸術性も求められ、選手のメイクも重要といわれていますが、オリンピックシーズンで施すメイクはどのようなものなのか、9日に行われたメイク講習会を、日本テレビの小高茉緒アナウンサーが取材、そのメイクも体験しました。
■あのド派手なメイク 実は選手自らがしていた「こっそり練習」
日本テレビアナウンサーの小高茉緒です。
アーティスティックスイミング(以下、AS)ですが、多くの大会で、会場にメイク担当者が入ることができません。そのため、試合前約30分で、選手自らメイクを行います。
日常的に化粧をされている方は、「あのメイクを30分で?」と驚くのではないでしょうか。
長きにわたり、マーメイドジャパン(=AS日本代表の愛称)のメイクを考案している、メイクアップアーティスト 石井勲さん(コーセー)が、選手に直接指導を行いました。
最初に行ったのは、チームアクロバティックルーティンのテーマ『アリゲーター(=ワニ)』のメイクです。
目頭には黒いラインを2本入れ、ワニの口をイメージ。まぶたに施す紺、青、緑、黄のグラデーションと、目の下に入る紫のラインが、眼光鋭いワニのおどろおどろしさを表しています。
はじめに石井さんが実演。選手たちは紙とペンを持って石井さんの元に集まり、手順やポイントをメモしていきます。
その後、実践。選手たちからは、「テーマ通り、クールで大人っぽい!」「グラデーションを作るのが難しい…」という声が聞かれました。
メイクが終わると、選手たちが壁に沿って整列。全員が並ぶとどのように見えるのか、しっかりそろっているか、コーチ陣がチェックしていくのです。
メイクを揃えることが難しい理由、それは、目の幅や眉と目の距離に個人差があるためです。「この色は何センチの幅で入れる」「このラインは何ミリ引く」という基準を設けることが出来ないため、顔のパーツの特徴と照らし合わせながら、個人で練習を積み重ねていきます。
キャプテン吉田萌選手は、「身体が勝手に動くくらいまで叩き込む。本番までこっそり練習します」と、笑顔で話していました。
種目ごとにテーマが変わるため、この日は他に2種類のメイク練習を行いました。
■実際に体験!“数ミリ”へのこだわりが重要
チームアクロバティックルーティンの「アリゲーターメイク」を、私も体験させていただきました。
実は、使う道具は市販されているウォータープルーフ(水や汗に強い)のもの。特別な道具は、一切使いません。
そのため、あれだけ濃いメイクにもかかわらず、施していることを忘れるくらいの違和感の無さ。演技に集中できるよう、配慮されていることを実感しました。
画像の左は石井さんにメイクしていただき、右は自分でおこなってみましたが…色の幅が広すぎて丸みを帯びてしまい、ワニの持つ鋭さが足りません。
色をどこまで入れるべきか、アイラインはもう少し長くするべきか、など、次から次へと迷いが生まれました。
それにしても全くの別人…非日常的でワクワクして嬉しかったのですが、スマートフォンやパソコンの顔認証が機能せず、泣く泣くメイクを落としました。
チーム全員で見た目をシンクロさせるためには、演技と同じく“ほんの数ミリへのこだわり”が求められるのです。
オリンピックにおいて、日本は、1984年ロス五輪から全大会に出場。これまでに、銀メダルを4個、銅メダルを10個獲得しています。
リオオリンピックでは、デュエット・チームともに銅メダルを獲得。しかし、東京オリンピックでは、デュエット・チームともに4位と、惜しくもメダルに届きませんでした。
2大会ぶりのメダル獲得なるか、ぜひ種目ごとに変化するメイクにも注目してご覧ください。