【高校サッカー宮城全力応援】37年ぶりに重い扉を開けたイレブン「東北学院」を応援したい5つのこと
その仙台市の中心、仙台駅から車で約20分、JR仙石線の沿線に学校を構えるのが12月28日に開幕する第103回全国高校サッカー選手権大会に宮城代表として出場する東北学院です。
12月29日の全国大会1回戦では、奈良代表の奈良育英とニッパツ三ツ沢球技場で対戦しますが、その宮城代表・東北学院の応援したい5つのポイントを紹介します。
1.県内トップレベルの文武両道校
1886年創立の東北学院はプロテスタント系の中高一貫校で、2022年に男女共学となりました。
サッカー部をはじめ甲子園出場経験を持つ野球部、ウインターカップ出場経験を持つバスケットボール部など県内トップレベルの部活動を擁しています。また、毎年東北大学をはじめとする難関大学合格者を数多く輩出するなど文武両道を実現しています。
2.創部100年、県内屈指の歴史を誇るサッカー部
1925年創部で来年100周年を迎える伝統校。OBには元日本代表GKのシュミット・ダニエル選手、J3いわてグルージャ盛岡の佐藤未勇選手などがいます。
これまで選手権全国大会には4度出場し、昭和58年の61回大会ではベスト8進出を果たしましたが、66回大会の出場を最後に選手権全国大会から遠ざかっていました。最近は、101回、102回と2大会連続で決勝に進出するなど、何度も県大会決勝までコマを進めましたが、あと一歩のところで涙をのんでいました。
そんな中で、今年37年ぶりに重く閉ざされた扉を開け5度目の選手権出場を決めました。
3.去年の決勝で敗れた相手とのリベンジマッチ
相手は、前回大会の決勝戦でわずかシュート1本に抑えられて敗れた仙台育英でした。
今回の試合は序盤から東北学院が主導権を握ります。前線での積極的なプレスからボールを奪い、素早いパス回しで相手ゴールに迫ります。
前半32分、嶺岸颯人選手(3年)がドリブルでチャンスを作り、その折り返しを岡元龍太選手(3年)が冷静に流し込み先制点を奪うと、後半33分には、再び嶺岸選手が相手の隙を突き、ゴール前でボールを奪いそのまま押し込み追加点を挙げ、2-0。
アディショナルタイムに伝統校仙台育英も驚異の粘りを見せ1点を挙げますが、東北学院が何とかリードを守り切り昨年のリベンジを果たしました。
4.テクニカルなサッカーに強さを加えた今年のチーム
足元の高い技術を駆使した繋ぐサッカーを伝統的スタイルとする東北学院。
昨年の選手権県大会決勝で仙台育英にフィジカルで圧倒され、自分たちの良さを発揮できなかった反省から、今年はフィジカル強化に力を入れました。
ウォーミングアップ後に全体で行う体幹トレーニングや、練習後に選手達が自主的に行う筋力トレーニングなどを続けることで、相手に負けない強さを身につけた今年のチーム。
「全体的にプレー強度が上がり、県外の強豪チームと戦っても球際の競り合いでの強さを見せられるようになった。また攻守の切り替えの早さで負けることがなくなってきた」と橋本俊一監督は語ります。
チームを率いる橋本監督は、守護神であるGK橋本脩礼選手(3年)の父でもあり、親子で選手権に挑みます。現役時代GKだった父に対し脩礼選手は「自分のサッカーの基礎となる部分は父親から教えてもらった。選手権では父を超える活躍をしたい」と話しています。
5.東北学院の歴史を変えた絶対的キャプテン
チームの中心はセンターバックとして守備をけん引するとともに、139人の部員をまとめるキャプテン阿部幹大選手(3年)。
橋本監督が「これまで指導してきた中でもずば抜けたリーダーシップを持ち、彼の存在や発言一つでチームが一体になる」と評するほどの抜群の統率力でチームを支えてきました。
「自分のためではなく、仲間のためにサッカーをしている」と語るなど、誰よりもチームメイトへの強い思いを持つ阿部選手は「辛いことも沢山あったが、どんな時も自分を支え続けてくれた仲間たちに、選手権全国大会というまだ見ぬ景色を見せたい一心で頑張ってきた」と、この一年を振り返ります。
「東北学院を変える」を合言葉に、結果が出ない時期も決して下を向かず、阿部選手を中心にチームが一丸となって結束し掴み取った37年ぶりの選手権全国大会への切符。
12月29日に行われる奈良育英との1回戦に向け阿部選手は、「出場だけで満足という大会にはしたくない。今大会で快進撃を見せるために、まずはチーム一丸となって初戦をいい形で勝ち切りたい」と意気込みを口にしました。
(取材・文 高校サッカー選手権民放43社 / ミヤギテレビ)