複数の競技に挑戦する「マルチスポーツ」を楽しんで 新庄市と山形市に運動施設をオープンへ
皆さんは「マルチスポーツ」をご存知ですか。一人が1つの競技にこだわらず複数の競技に挑戦するスポーツです。新庄市にこのマルチスポーツの運動施設をオープンさせようとする若者を取材しました。
一人が複数のスポーツに取り組む「マルチスポーツ」。1つの種目にこだわらず、多くのスポーツに参加します。アメリカを始め海外では主流の考え方で、今、国内でも1つの種目で、身につかない筋力がつき、また多くの人と接することで精神的な成長にもつながると注目されています。
様々な障害物や吊り輪が設置されているこの場所は、新庄市の空き店舗を改装した「マルチスポーツ」の屋内運動施設です。この施設を作ったのが、河北町在住の荒木優希さん(22)。荒木さんは、「マルチスポーツ」を多くの人に知ってもらいたいとこの施設を作りました。
荒木優希さん「すべてのスポーツに共通するのは体を使うこと。筋力トレーニングとかランニングとか基本的な部分が大切になって来る。その基本的な部分から始められる、誰でも来れる施設から始めるべきと思って、トレーニングジムを作った」
施設は子どもの利用がメイン。訪れる2歳から中学生までの子どもたちは、自分たちで器具のレイアウトを変えながら、マルチスポーツを楽しんでいます。
荒木優希さん「保護者からは子どもが笑顔で動いてるのがいいといわれた。公園の遊び場に連れて行っても、小さい子優先になってしまって上の子たちが本領発揮できる場所がないっていう方も多い。自分で動かない子がここにチャレンジしてみたいっていうきっかけを自分で作る場所だと思う。続けていきたい」
施設内には、うんていや跳び箱などのトレーニング器具があります。中でも子どもたちに人気なのが、壁や柱、ロープなどの障がい物を乗り越えて進む「オブスタクル」というスポーツです。2028年のロサンゼルスオリンピックから競技に採用されることが決まりました。
(これはどう使う?)「これはうんてい。吊り輪ぶら下げているので渡っていってもいいし、ロープあるのでターザンロープみたいに渡ってもいいもいい」
この跳び箱は、廃校になった学校から譲ってもらったものだといいます。
施設説明「パルクールとして走って上るでもいい。お子さんに道を作ってあげて、高いところでも動ける。怖いけど渡ってみることもできる。体の使い方は無限大だと思うので、道具をいろんな形に置き換えてる。フル活用してます」
荒木さんは、小学生の頃、カヌーや陸上、水泳など複数のスポーツを同時に取り組んでいました。しかし成長するにつれ、中学、高校では、「1つの競技に集中しないと強くなれない」などと周りに言われたといいます。
荒木優希さん「カヌーに関しては、筋力だったり、体の使い方を学んだ。陸上は、体力・持久力・筋力を整えられた。その3種目があったからこそ今の僕がいる」
荒木さんは19歳で起業し、河北町にうんていや筋トレ器具などを使って様々なトレーニングができるジムを開設しました。さらに、県内各地でテニスやトランポリン、ボルダリングなどを体験できるスポーツ教室を開いています。
荒木優希さん「マルチスポーツの良さは体動かすこと自体を楽しめたり、価値観が狭くならない、いろんな人と触れ合ったり、けがをしないからスポーツを続けられる」
去年11月、多くの人にマルチスポーツの魅力を知ってもらおうとイベントが開かれました。
会場には、バスケットボールやサッカーなどのメジャーなスポーツから、ボルダリングやパルクールなど30種類以上のスポーツブースが設けられました。参加者は子どもから大人まで年代はさまざま。普段はなかなか目にしないスポーツに興味を示していました。
荒木優希さん「スポーツって本来は気晴らし。楽しむことがすべて。参加者から楽しかったや夢の国のようだったなどと言ってもらった」
荒木さんは、イベントやジムを通じて、運動に興味を持ってもらい、スポーツの魅力を広めたいと話します。
荒木優希さん「僕自身もまだまだ不安なところがたくさんある。でも子どもたちの笑顔のためだったり、スポーツ界がもっともっとよくなって、山形が良くなって欲しいので、成功させて、日本に誇れるような文化や考え方を山形から発信したい」
マルチスポーツの屋内運動施設は、4月には新庄市でその後は山形市でもオープンする予定です。マルチスポーツを広めるため荒木さんの挑戦は続きます。