駆除に頼らないクマ対策 にかほ市
クマが大量出没した去年、県内ではこれまでで最も多い2100頭余りが捕獲・駆除され、抗議の電話が、主に県外から県などに寄せられました。こうした状況も踏まえてにかほ市は駆除に頼らなくても済むような環境を整備しようと、ふるさと納税を財源とする新たなクマ対策を進めています。
9億円を超えるふるさと納税を過去2年続けて集めてきたにかほ市。活性化を進める上でふるさと納税がなくてはならない財源となっています。そのにかほ市が12月下旬に始めたのがふるさと納税を活用した、「クマといい距離プロジェクト」です。
にかほ市総合政策課・齋藤健志さん「そもそもクマを人里に近づけないことが重要だと考えている。誰も手つけてないのでやぶ化が進んでいてそこにクマが潜みやすいっていう環境があるということで、それを刈り払って見通しが良くなればクマも山から出てこれないのではないか」
このプロジェクトでは駆除に頼らないクマ対策を目指し、人里周辺のやぶを刈り払って見通しを良くしたり、クマを引き寄せるカキなどの放置された果樹を伐採したりします。
ふるさと納税をする都市部に住む人にもイメージしやすいようにと、草刈り機をもった職員の画像を用意しました。
返礼品には地元で収穫されたコメを複数取りそろえたほか、返礼品なしの寄付も合わせて2000円から1万円まで9種類用意しました。寄付1件ごとに1000円がクマ対策に。返礼品なしの場合、残りはにかほ市の様々な課題の解決に活用されます。
このプロジェクトの背景にあるのは去年全国から寄せられたクマの駆除に対する抗議です。
にかほ市総合政策課・齋藤健志さん「県庁の方には抗議の電話がいっぱい来ている。抗議が来るってことはこういうプロジェクトをした場合の需要があるっていうことが見込まれたので、こういう取り組みをまず進めようと。『クマが悪いわけじゃない』。そういうのが、寄付者さんの声として多くありまして、こういうのってあまり多分ないことで、この寄付と一緒にコメントもいただき、大変励ましになっている」
豪華な返礼品ではなく理念や取り組みに共感をもってもらおうという新たなふるさと納税。およそ1か月で137件の寄付が寄せられています。にかほ市は今後も駆除に頼らない取り組みを発信し人とクマとのすみ分けを進めていく方針です。