リニア中央新幹線 2027年開業を断念 新たな開業目標も示せず・・・ 駅予定地から落胆の声
名古屋と東京・品川間を最速40分で結ぶリニア中央新幹線について、JR東海が「2027年の開業は実現できない」と表明しました。新たな開業目標も示せない状況に、東海地方からは落胆の声が上がっています。
29日午後、取材に応じたJR東海の丹羽社長。
JR東海 丹羽俊介社長:
「残念ながら品川―名古屋間2027年の開業は、実現できないと考えているところでございます」
当初目指していたリニア中央新幹線の「2027年の開業」の断念することを発表。いつ開業するのか「未定」となってしまいました。
リニア中央新幹線を巡っては、これまで静岡工区の掘削工事について「自然環境への影響が考えられる」などとして静岡県が着工を認めず、去年12月には、開業時期を「2027年以降」に変更。
その後も、着手の見込みが立たないことから、今回2027年の開業を断念することを決めたといいます。
JR東海 丹羽社長:
「1日も早く、静岡工区を着工できるように全力を尽くしてまいりたいと思います」
駅ができる予定の岐阜県中津川市からは落胆の声が。
中津川市民:
「大学生になった時くらいに (リニア新幹線が)できるという話だったので、遠いところに行けるといいなと思っていたけどちょっと残念」
岐阜県の古田知事も、「直ちに工事に着手したとして、開業まで10年はかかるとのことであります。当初の計画の2027年から大幅に遅れることとなり誠に残念であります」とコメントを発表しています。
今回、2027年の開業を断念したことでどんな影響が出るのか、中京大学経済学部の内田俊宏 客員教授は「次の目標が決まっていないのが問題」として、次のような内容を指摘します。
1.駅周辺の再開発やインフラ整備が停滞
人口減少が加速するなか、都市の競争力強化は喫緊の課題となっています。今回の断念によって、名古屋駅や中間駅の開発が停滞するうえ、リニアの開業によって新幹線の「こだま」「ひかり」の停車回数が増えると見込まれる地方都市のまちづくりにも遅れが出る懸念があります。
2.インバウンドの集客力強化に遅れ
リニアの開業によって「観光のゴールデンルート」ともいえる東京や関西を中心に観光する訪日客が、名古屋を拠点に東海や北陸を周遊することが期待されていましたが、こうした観光ルートの実現にも遅れが出ることになります。
3.産業競争力の引き上げに遅れ
名古屋周辺に集まる自動車産業と、東京に集まるIT産業との連携がスムーズになることが期待されていましたが、リニア開業の遅れによって、こうした産業の強化、国際競争力の引き上げにも遅れが出ることも考えられます。
多くの人の期待がこめられているリニア新幹線。一体いつ、開業するのでしょうか。