見慣れない「。」が怖い… 若者は「怒っている」と誤解!? 普通の文章なのに…なぜ?
最近SNSを中心に、あることが話題になっています。
部下「電車が遅延していて出社が少し遅れます」
上司「了解しました。」
これは上司と若手の部下という関係をイメージした、ごく普通のやりとりですが、部下からすると“ちょっと怖い”印象を持つ人がいるそうです。部下が“怖い”と思ったポイントは、上司が送った「了解しました。」の“。”(句点)。若者が“。”に恐怖心を抱くということで、マルハラ(マルハラスメント)と言われているそうです。
“。”を冷たく思う人は本当にいるのでしょうか。名古屋の街で聞いてみました。
文末の“。”を「怖い」「冷たい」と感じる若者たち
名古屋の人はSNS上での“。”句点を、どう思っているのでしょうか。10代~20代の若者たちに尋ねてみると、「『。』ついてると冷たいなと思います」「『。』でプツッと切られた冷たい感じがします。びっくりマークついてると安心します」などの意見が多く聞かれました。
ダンススクールに通っているという大学生は、ダンスの先生に送迎をお願いした時のやりとりで感じたことがあるといいます。大学生が送迎をお願いするメッセージを送信すると、先生から返ってのが「ええよー。(マル)」。その後のメッセージで、大学生は土下座のマークを送っています。
ダンススクールに通う大学生(20):
「この『ー』のあとの『。』がすごい気になっちゃって。個人的に(送迎を)頼んでるし『。』(の圧)とか感じちゃってるので、とにかく『ありがとうございます』って言うのを伝えたくて(土下座の絵文字を)使いました」
先生から送られたマルの意味に悩んだ結果、普段は使わない絵文字で感謝を伝えたと言います。もちろん、若い世代のなかにも「書いてある内容にもよりますけど、基本は気にしない」という人もいました。
一方、人生の50歳以上の人たちにマルハラについて聞いてみると、“。”は感情表現としてではなく、文章のルールや読みやすさのために付けているという声が多数。今後、文末の“。”をどうするかという質問には、こんな意見も。
会社員の男性(60)
「時代は変わりますので、それはそれで僕らも順応していかないと思うし、句読点付けるも付けないも、若者が逆に順応してもらわないといけない」
普通の文章なのに…なぜ“。”を怖いと感じるのか?
なぜ“。”に恐怖を感じるのか。若者文化などを研究している専門家に聞きました。
成蹊大学の高橋暁子客員教授によると、「若い世代は、LINEなどの短文のやりとりでは句読点を打つべき所で送信するので、“。”の存在しない世界を生きている。上の世代から“。”が送られると、何か意味があって『あえてつけているのでは?』と考えてしまう」ということでした。
また、日本大学の小川豊武准教授は、「日ごろからSNSで常時つながっていて、やり取りの「終了」が“曖昧”なことに慣れている。文の終了を表す“。”が、はっきりと打ち切るように感じられ、怖いと思う人が一定数いるのではないか」と分析しています。
このように、世代によって大きく印象が変わる“。”ですが、歌人の俵万智さんは「句点を打つのも、おばさん構文と聞いて…この一首をそっと置いておきますね~」と、X(エックス)にこんな短歌をツイートしました。
“優しさに ひとつ気がつく ×(ばつ)でなく ○(まる)で必ず 終わる日本語”
この投稿には、これまでに12万以上の“いいね”がつけられています。