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名駅前から姿を消したシンボル“銀のぐるぐる”はどこへ…? 撮り続けた91歳が復元願う

2024年3月9日 7:00
名駅前から姿を消したシンボル“銀のぐるぐる”はどこへ…? 撮り続けた91歳が復元願う
名駅前のシンボル「飛翔」
リニア開業に向けた再整備で、名駅周辺はずいぶんと様変わりしていますが、一昨年に撤去された名古屋駅前のシンボル“銀のぐるぐる”は、今どこにあるのでしょうか。

撤去から1年半 “銀のぐるぐる”は今どこに?

リニア中央新幹線の工事が着々と進む名古屋駅周辺。JR東海によると、名古屋駅周辺の用地の取得はすべて完了していて、“2027年以降”の開業に向け、さまざまな場所がフェンスで囲われています。

風景が変わったといえば、駅前から姿を消した“銀色のぐるぐる”。名古屋市が市政100周年を記念して作り、30年以上も名古屋駅のシンボルだった「飛翔」です。一昨年、駅前広場の整備のために撤去されたのですが、その後、一体どうなったのでしょうか。

名古屋市名駅ターミナル整備室の主査・小野田昌樹さんに聞いてみたところ、当初はささしまの高架下に再構築する予定だったのですが、高さを削らなければならないなどの理由から断念し、今は市有地で保管しているということでした。

保管場所は防犯上の理由から明かせないということで、「具体的な場所は明かさない」という条件で住所を教えてもらい向かってみると、金網に囲まれた場所に大量のブルーシートが…。ブルーシートの隙間からは、筒状のものが見えます。分解された「飛翔」のパーツが山積みになっていました。

市有地に1年半も置かれっぱなしになっているのは、ささしまへの移転が白紙となった後、新たな移転先が決まっていないからです。雨風にさらされたブルーシートは痛んでいる箇所もあり、寂しい光景となっていました。

撤去された「飛翔」の復元を願い活動を続ける91歳

撤去されてしまった名古屋駅前のシンボル「飛翔」に思い入れのある男性がいます。愛知県東郷町に住む有元洋剛さん、91歳。

有元さんは、1975年に名古屋へ転勤となり、勤務先だった大名古屋ビルヂングの9階から街並みを撮影していたそうです。そして、「飛翔」の建設が始まると、シャッターを切る回数も増えていきました。

「飛翔」を撮り続けた有元洋剛さん:
「カメラで写すときに面白いタイミングの方がいいと思って、ただ単にパチっと写すだけでなく、(現場で)朝礼をやっているとか、ポンプ車が入ってきたなとか、工事の状況が写るようにシャッターを切った」

名古屋駅前のロータリーに渦巻き状に次々と積みあがっていく様子には、21世紀を目前にして名古屋が発展していく雰囲気を感じたそうです。しかし、「飛翔」が完成した頃の写真を撮影していたのは、有元さんではありませんでした。

「飛翔」を撮り続けた有元洋剛さん:
「完成したとき、僕は定年退職して会社にいなかった。娘がちょうど(同じビルの)12階に勤めていましてね。娘にカメラを渡して同じように撮ってもらった」

しかし、登場してから約30年で「飛翔」は名古屋駅前から姿を消してしまいました。「飛翔」が誕生するのを見続けてきた有元さんは復元を願い、撮り続けてきた写真の展示会を開いたり、名古屋市議会に陳情書も出しましたが、いまのところ返答はないそうです。

市によると、改めて移設の候補地を検討中で、場所の広さや周辺の理解だけでなく、シンボルの「飛翔」にふさわしい場所を探しているということです。

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