12人の男達が真冬の川で竹によじ登る!尾張三大奇祭「きねこさ祭」に密着
尾張三大奇祭のひとつ「きねこさ祭」が今年も開催!一番の見どころは、ふんどし姿の男たちが、川の中で竹によじ登り、竹が倒れた方向で1年の吉凶を占う「川祭り」。祭りの模様から厄除け神事まで、中京テレビアナウンサー・仲川晴斐が“体当たり“で取材した。
尾張三大奇祭のひとつ「きねこさ祭」
2月26日、名古屋市中村区にて行われた「きねこさ祭」。愛知県稲沢市の国府宮神社の「はだか祭」、大きな的に36本の矢を放つ熱田神宮の「歩射神事」に並び、“尾張三大奇祭”に挙げられるひとつだ。
まだ寒さが厳しい中、季節外れの浴衣を着た男達が青い竹を担ぎながら、祭りの拠点「七所社」から庄内川へと向かっていく。祭りの一番の見どころは、ふんどし姿の男たちが川の中で竹によじ登る「川祭り」。
庄内川には、奇祭をひと目見ようと多くの人が集まっていた。川に訪れた夫婦は、「年に1回の祭りなんで、みんな来たいんじゃないんですか。楽しみにしてますもん」と答え、祭りのはじまりを心待ちにしていた。
観客の拍手と共に庄内川に現れたのは、青い竹を担いだ12人の男たち。覚悟を決めた精悍な顔つきで、先頭から順番に川の中に入っていく。水の中に入った男たちは42歳の後厄の10人と、親が厄年の子ども2人の合計12人。
「川祭り」では男たちが竹をよじ登り、倒れた方向で1年の吉凶を占う。去年の「川祭り」では、竹が大きくしなり苦戦。なかなか折ることが出来なかったという。果たして今年はどの方向に、どのように折れるのか。多くの人々が見守るなか、12人の男たちの挑戦が始まった。
吉方・南東に折れた竹「縁起のいい年になる」
ついに始まった「川祭り」。観客たちの歓声が飛び交うなか、11人の男達が竹を支え、男達の肩に足をかけ、代表者の男が竹をよじ登っていく。頼れるものは、己の腕力と脚力のみ。手足を滑らせながらも、必死に上へと手を伸ばし、力強く上を目指す。
男が上に到達すると、重みで竹がゆるやかにしなり、倒れる前兆が。下で竹を支える男たちも腰を落とし、竹が倒れやすいように支える力をより一層強めた。
竹は南東の方角に勢いよく折れ、川祭りは見事に成功。竹が折れた瞬間、12人の男たちは満面の笑みで拳を高く突き上げ、抱き合いながら互いの健闘をたたえ合った。男たちは一列に並び、万歳三唱で観客たちに挨拶。観客からは大きな歓声と拍手が贈られた。
今年竹が折れた方角は、「吉方」とされる南東の方角。「七所社」禰宜・吉田雅彦さんは、「今年は竹が南東に倒れまして、今年は良い年、吉方だと思っています。縁起のいい年になると思っています」と祭りの成功を祝った。
「川祭り」を終えたあと、男たちは次の“厄よけ神事”のため衣装に着替え、街を練り歩きながら「七所社」へ。境内では、「きねこさ祭」が奇祭と呼ばれるにふさわしい“もうひとつの神事“が行われようとしていた。
いよいよ境内にて、“もうひとつの神事“が開始。神事に参加するやいなや、男たちが手にした祭具が、仲川アナウンサーのお尻にクリーンヒット!実はこの“叩くこと”こそ、「きねこさ祭」が奇祭と呼ばれる所以のひとつ。「きねこさ祭」では、川に入った”役者”と呼ばれる後厄の男たちが、本厄の人たちを”祭具”と呼ばれるもので叩き、厄を払う厄除け神事が行われるのだ。
1000年以上の歴史があるといわれる「きねこさ祭」。鎌倉時代から現在まで、ほぼ同じ形式で行われており、希望すれば誰でも叩いてもらうことができる。そのため、神事開始からしばらく時間が経っても、“叩いてもらいたい”参拝者が続々と集結。叩かれるだけでなく、触れられたり触ったりするだけでも“厄払い”となるそうで、境内は多くの人々で賑わった。
祭具はさまざまな種類があり、今年本厄の仲川アナウンサーもしっかり厄払い。今年の「きねこさ祭」も、大きな盛り上がりをみせた。