県産小麦でオール福井のパン開発 農家と老舗ベーカリータッグで消費拡大へ
ウクライナ情勢や円安の影響で輸入小麦の価格が高騰する中、福井で小麦の栽培が本格化しています。
作付面積は北陸でトップで、農家と老舗ベーカリーがタッグを組んで消費拡大を目指します。
記者
「コメどころ坂井市で新たに栽培される小麦。地域で栽培し消費するオール福井のパンを目指します。」
県内では今シーズンから、坂井市や越前市などのコメ農家が本格的に小麦を栽培しています。
坂井市の農家はこの日、去年秋に種をまいた北海道由来の品種およそ60ヘクタール分を刈り取りました。
田中農園 田中勇樹代表
「輸入小麦が手に入らないので国産小麦も注目されるようになって、買い取り価格も安定している。」
小麦のおよそ9割を海外からの輸入に頼る日本。ウクライナ情勢や円安の影響で小麦の輸入価格は高騰し、不安定な状態が続いています。
一方、北陸では気象条件がパン用の小麦栽培に向かないとされながら、近年は梅雨入りの遅れや、気温が高い日が続くといった、栽培に適した条件が揃ってきました。
田中代表
「近年のこの暑さが原因かなと。品質的にも良いものが作れているので、今後農家所得につながる作物を坂井あわら 越前市を中心に広げていきたい。」
昨シーズン、県内の小麦の作付け面積は200ヘクタールあまりに拡大し、北陸4県でトップとなりました。
こうした中、県産小麦の消費を後押しして生産拡大につなげようと、鯖江市内の老舗ベーカリーが栽培農家とタッグを組みました。
ヨーロッパンキムラヤ 古谷香住 社長
「こっちが外国産こっちが福井県産。だまは残らない方がパンに適している。従来の県産ふくこむぎはもっとだまになる。この小麦は製パン性はある。パンづくりに関しては優れている。」
製粉した県産の小麦粉とフランス産の高級小麦粉を比べて、たんぱく質の多さや成分を確認します。
古谷さん
「一つ考えられるのはまちがいなくグルテンは外国産が多い。それでも福井県産が給水が多いのは、デンプンか食物繊維が多いため。従来は何かほかの小麦をブレンドしてグルテン量を下げてパンを作るのがパターンだったが、福井県産の場合はグルテン量が良くないので、それを強みに単品100%でパンを作ることが出来る。」
店では県産小麦粉だけで小麦本来の風味が楽しめる「ベーグル」として販売を始めました。
田中さん
「違いがあまりわからなかったところで、逆に良いといってもらえて。僕らが栽培している方法や品種がいいのかなと確信がもてるようになった。」
古谷さん
「一番の特徴は生産者の顔がわかる。それは外国産では絶対わからないことだから。」
今シーズンはおよそ400トンの収穫が見込まれる県産小麦。来シーズンはさらに150ヘクタール拡大し、栽培から加工・販売まで「オールふくい」で地産地消を目指します。
*ふくベーグル162円(税込)