【特集】“リケジョ”のキックボクサー 目指すは県内初のプロデビュー「痛さよりも楽しさが勝つ」 コロナ禍でのフィットネス感覚から熱中
キックボクシングの世界で、県内で初めてプロデビューを目指す女性がいます。もう1つの顔は“リケジョ”の食品検査員。2つの顔を持つ女性に密着しました。
越前市内の食品メーカーに勤める土谷美貴さん(30)。茶わん蒸しなどのチルド食品を取り扱う全国屈指のメーカーで、衛生管理のチェックや成分分析を担当し、食の安全と安心をサポートしています。
■リポート 吉岡弘起記者
「検査の分野と二刀流で極める土谷さんのもう一つの顔は…」
「鋭いキックを繰り出し、こぶしでプロの道を切り開くキックボクサーです」
仕事を終えた土谷さんが向かった先は、会社近くのキックボクシングジム。
■土谷美貴さん
「お願いします!」
自らを徹底的に追い込み、肉体と精神を鍛えます。
身長160センチの土谷さん。得意技はミドルキックだそうですが、キックボクシングを始めたワケとは。
■土谷美貴さん
「ヨガをしてたんですけど、コロナ禍でヨガ教室が無くなったので。他にスポーツないかなと探していたら、会社の近くでフィットネス感覚で始まりました」
3年前からキックボクシングを始めた土谷さんは去年、アマチュアデビューを果たしました。
■土谷美貴さん
「アマチュアで試合に出ているけど、プロになるというのはまだ家族に言っていない。どこまで自分が通用するのか試してみたい」
指導にあたるのは、2006年にキックボクシングのプロテストに合格し、「K‐1(ケーワン))」にも参戦した杉本幸績さんです。このジムからは今年3月、初めてプロの選手を輩出しました。
■杉本幸績さん
「(土谷さんは)引っ込み思案なところがあって、シャイだなという感じだったけど、今は試合会場で自分を出せて。プロファイターとして目指して頑張ってほしい」
キックボクシングは、パンチや蹴りは顔を含めて全て有効で、相手の首を両腕で挟んで膝を入れる首相撲もあります。
■土谷美貴さん
「青あざとかねんざとか。むち打ちみたいな状態の首の痛さは試合後にあるけど、痛さよりも楽しかった方が勝つ」
アマチュアは1ラウンド最大2分の2ラウンド制で、相手にダメージを与えてノックアウトさせるか、判定の場合は技を的確に当てているかどうかが勝敗を分けます。
■土谷美貴さん
「キックボクシングは視野広く見ないといけない。ひとつのことだけでなく、仕事も並行しながらやっているので、全体見ながらどう動けばよいのかということは、視野広く見ることでつながっている。何事にも動じなくなった」
来年1月には、プロへの試金石となるアマチュアの全国大会を控えた土谷さん。仕事中にも意識していることがあるそうで…
■土谷美貴さん
「姿勢を正して体幹を意識しているのと、キックボクシングでアゴが上がってしまうと相手からパンチくらった時に飛ばされてしまうので、常にアゴを引くというのも意識しながら仕事しています」
強くなることに貪欲な異色のキックボクサー。来年3月のプロデビューを目指します。