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【能登半島地震】記者が見た被災地 断水続く石川・内灘町 下水道は復旧のメド立たず 液状化が再建の壁に

2024年2月19日 9:13
【能登半島地震】記者が見た被災地 断水続く石川・内灘町 下水道は復旧のメド立たず 液状化が再建の壁に
FBS記者の能登半島地震取材報告
能登半島地震の被災地を取材した樋口記者に伝えてもらいます。樋口記者は18日まで1週間余り、現地を取材しました。液状化の被害にあった町では、復興への先行きの見えない不安の声が聞かれました。

石川県金沢市では観光客の姿も見られ、一見、元日の地震の影響を感じさせない週末を迎えていました。

しかし車で20分ほど走ると、見えてきたのは地震の深い爪痕でした。

■樋口淳哉記者
「車庫だったのでしょうか。完全に土地が盛り上がってしまっています。」

道路は波打ち、住宅や電柱が大きく傾いていました。これらは液状化の被害です。

液状化は、支え合っていた土の粒子が地震で強い衝撃を受けたことでバラバラになり、地盤全体がドロドロになる現象です。

金沢市に隣接する内灘町(うちなだまち)では、町を横断する道路沿い6キロにわたり被害を受けました。

路面の隆起や沈下、地盤の傾きなどで建物への被害は1473件に上ります。

■岡野寛さん
「こんなにひどくなるとは思っていなかった。」

岡野寛さん(76)は、被害が大きかった内灘町の西荒屋地区に住んでいます。現在は避難所を離れ、自宅で生活しています。

■岡野さん
「もともとはこうやって(開けたら)止まっていたのが(手を)離すと(バタン)。ちょっと傾いているから家が。3階では生活できん。気持ち悪くなって。」

家の前の道路も陥没しました。町内の水道管もあちこちで切れ、いまも断水が続いています。

生活に必要な水を得るため、毎日、岡野さんが向かうのは近くの小学校にある給水所です。妻と2人分、必要なだけペットボトルに注ぎます。

■岡野さん
「どれくらいかかるのか見えないから、それが一番不安ですよ。」

町は上水道の2月末の復旧を目指していますが、下水道についてはメドが立っていません。

石川県の馳(はせ)知事は、液状化被害ならではの「復旧への壁」があるといいます。

■石川県・馳浩 知事
「隣の家との境界が分からないほどのずれ。これをどうするかという問題がまずあります。道路・宅地ともに高さが大きく変化し、どの高さを基準として復旧するのかという課題がございます。液状化による現象を課題として理解し、今後どうするか。」

さらに、高齢化が進む中、再建を希望する人がどれだけいるのか。町は住民の意向を確認したあと、復興のプランを立てる予定です。

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