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【今後10年見られず】熊本城の宇土櫓 解体工事前に「素屋根」内部を公開

2023年11月29日 18:44
【今後10年見られず】熊本城の宇土櫓 解体工事前に「素屋根」内部を公開
熊本地震で被災し、着々と復旧工事がすすむ熊本城。「第3の天守」と呼ばれる宇土櫓の解体作業が始まるのを前に、櫓を囲う素屋根の内部が初めて報道陣に公開されました。

熊本城の別名「銀杏城」の由来となった大イチョウ。今、見頃を迎え、29日も多くの観光客でにぎわっていました。その熊本城で今、注目されているのが、国指定重要文化財の宇土櫓です。

宇土櫓も2016年の熊本地震で被災し、解体復旧工事が行われます。その工事を行うため、櫓の周りを覆う「素屋根」の設置が行われています。素屋根の設置は間もなく完了し、来年1月から本格的な解体が始まります。そこで初めて公開されたのが…。

■ 山本紗英子アナウンサー
「素屋根の内部です。ここは1階の屋根部分ですが、経年劣化や熊本地震の影響で崩れた瓦が、そのままになっています。植物も生えています」

約400年前の築城当時の姿を残す宇土櫓。7年前の熊本地震で大きな被害を受けました。櫓の南側にある続櫓の倒壊しました。今、その場所は…。

■熊本城総合事務所 田代純一さん
「続櫓が、ここからこう、のびていた場所。屋根もここに取りついていたというあとが見える」

接続部分のみ簡易的に保護されていますが、周辺は破損や劣化したままの状態です。宇土櫓が修理のために全て解体されるのは、昭和のはじめの1927年以来96年ぶりです。

続いてやってきたのは3階付近。そこで発見したのは、瓦に刻まれた複数の紋です。加藤家の桔梗紋、細川家の九曜紋、そして火除けの巴紋です。歴代の城主に愛され、繰り返し修理されてきたのでしょうか。ちなみに、紋が統一されていないのは、熊本城の中で宇土櫓だけだということです。

■山本紗英子アナウンサー
「最上階の5階です。柱が少し傾いているのが分かります。そして、青銅製のしゃちほこの勇ましい表情までよく見えます」

今後、櫓は2年かけて解体された後、設計作業などを経て再建され、2032年度に再建される予定です。

■熊本城総合事務所 岩佐康弘さん
「解体というのは何も、物を解体するだけではなくて、歴史そのものを紐解いていく。そういった意味も当然もっていると思いますので、そういう思いで事業に取り掛かっていきたい」

熊本城総合事務所によりますと、宇土櫓の解体復旧工事の様子は、透過性のネット越しに見ることができるということです。また、来年1月から2025年度の解体工事の期間中、一般客が1階屋根が見える素屋根内部に入り、間近で見てもらうことも検討しているということです。