屋根落下事故 熊本市側の管理責任認めるも建設会社への提訴は継続審査
JR上熊本駅の駅前広場で起きた屋根の落下事故をめぐり熊本市が建設会社を提訴する方針を示したことに対し議会から疑問が相次いだ問題。熊本市側の責任も問われる中本当に裁判を起こすのか?議論は20日も続きました。
■熊本市議会・落水清弘議員
「このまま突き進みますか?私は(業者と話し合うため)一議会待った方がいいと思う」
紛糾する熊本市議会。19日に終わるはだった議論が、20日に持ち越しとなりました。
議論の的となったのは、去年7月にJR上熊本駅東口の駅前広場の屋根の一部が落下した事故。熊本市が建設会社2社に対し、屋根の撤去などにかかる費用約1億5000万円を請求していましたが、会社側が応じず、市は議会の承認を得て損害賠償を求める裁判を始める方針でした。
ところが19日、市議会の委員から「これまでの過程で熊本市側に責任はなかったのか」と指摘が。このため熊本市は事故が起こるまでの経緯を説明しました。
熊本市によりますと、
上熊本駅前広場の屋根は2016年3月に完成。直後に熊本地震が起きました。
2016年5月に屋根の雨漏りを熊本市が建設会社と共に確認しました。
この間、原因の調査や補修に関する協議を進めていましたが去年7月に屋根が落下。
ことし1月、市から建設会社に損害賠償請求の通知を送りました。
雨漏りを確認して事故が起きるまでの約7年2か月。この間なぜ補修などの安全対策が行われなかったのか…。
建設会社2社の代理人弁護士は「補修工事を提案していたにも関わらず市が対応しなかった」などと市の主張に反論しています。
2日目となった20日の委員会。裁判をするのか問われた熊本市は「市民に被害が生じた場合の賠償責任は市にある」などとし早期に対策を行わなかった市側の責任を認めました。その上で、工事内容の不備は建設会社にあるとして裁判で争う方針を改めて示しました。
■熊本市土木部
「今回の提訴はあくまで完成から2か月後に雨漏りがはじまった屋根という納品物の瑕疵(かし)について判断を仰ぐものでございます」
一方、委員からは熊本市による事故原因の調査で「熊本地震との関連は確認できていない」としていることについて再調査などを行うべきという指摘がありました。
■都市整備委員会・上野美恵子委員
「調査の結果をここに示さない限りはわたしは納得できない」
議会側は、賠償額が多額であることや市の再調査の結果を考慮したいとして全会一致で継続審査することになり結論は持ち越されました。熊本市は「指摘された点に今後対応したい」としています。