「浸水地域への建設は違法」人吉市災害公営住宅訴訟 住宅購入費支払い差し止めなど求める
人吉市で建設計画が進められている災害公営住宅について、「浸水地域に建てるのは違法ではないか」として市民団体が市長に住宅の買い上げの差し止めを求めている裁判が始まりました。
人吉市は4年前の熊本豪雨で大きな被害を受けました。市は現在、中心部の大工町と九日町に被災した住民向けの災害公営住宅を建設中です。
しかし、いずれの地域も浸水被害を受けていることから去年9月、市民団体が浸水想定地域への建設は市の条例に反しているなどとして、予算の差し止めを求める住民監査請求を行いました。しかし、人吉市監査委員は「請求を受ける段階では予算の執行にいたっておらず、監査請求の対象にならない」などとして請求を却下しました。
このため今年3月、市民317人が原告となり、人吉市の松岡隼人市長を提訴。災害公営住宅の購入費18億1300万円の支払いの差し止めと、支払い済みの土地の購入費約7000万円を市が松岡市長に請求するよう求めました。今回の災害公営住宅は、市が事業者を選定し完成した建物を買い取るプロポーザル方式が採用されています。
24日に熊本地裁で開かれた第1回口頭弁論で、原告の山本百合代表は、「プロポーザル方式についての情報公開も不完全であり、土地の購入、建設に至るまで法令を遵守して行われたのか裁判で判断していただきたい」と訴えました。
■原告代理人 板井俊介弁護士
「建設自体は進んでいるということで、果たして建設を止められるのかという指摘もある。しかし、それを見逃していたら行政がおかしいことをやった場合に物を言う人が誰もいなくなりますし、さらに責任を追及していきたいと思っています」
人吉市は「現段階ではコメントを差し控える」としています。次回の裁判は8月7日に行われる予定です。