「自分の言葉で話して」奥田交番襲撃事件から6年 遺族の苦悩はいまも
富山市の奥田交番襲撃事件は26日で発生から6年です。
事件をめぐっては、2人の命を奪った被告の罪を問う一審の「やり直し裁判」が決まっていて、遺族は「被告には自分の言葉で話してほしい」と訴えています。
吉田記者のリポートです。
事件は6年前の6月26日、富山市で発生しました。
立山町の元自衛官、島津慧大被告(当時21)が奥田交番を襲撃。交番所長を刃物で殺害したうえ、奪った拳銃で小学校の前にいた警備員の中村信一さん(当時68)を射殺しました。
中村信一さんの妻
「いまだにやっぱり、家族の中では、亡くなった主人が本当に、中心にいる…」
事件で犠牲になった中村信一さんの妻。
時間がたっても悲しみが癒えることはありません。
中村さんの妻
「ことし6年生になった、一番下の孫なんかは、先月運動会があったんですが、『信ちゃんが見に来てくれてるかな』って言ってるのが、辛かったですね…」
事件から3年後の2021年。裁判員裁判で行われた一審の富山地裁は、強盗殺人罪の成立を認めず無期懲役とする判決を言い渡しました。
しかし、二審の名古屋高裁金沢支部は「一審判決に事実誤認がある」として審理を地裁に差し戻すよう命じました。
そして2024年3月、最高裁もこの判断を支持したため、もう一度、富山地裁で裁判員裁判がやり直されることが決まりました。
裁判の期日はまだ決まっていませんが、早ければ年内にも始まるとみる専門家もいます。
亡くなった中村さんの妻は当初、島津被告に極刑を望んでいましたが、事件から月日が流れ、今は「生きて罪を償ってほしい」と考えるようになったといいます。
中村さんの妻
「大変なことをしてしまった、こんなことやらなきゃよかった、みんなに申し訳ないって思ったうえで、苦しんでもらわないと…3年後4年後に死刑で、それで終わりですっていうのは、絶対悔しくて、彼にはそれだけつらい感情を抱いて生きてほしい。死ぬまで…」
3年前の裁判では島津被告は黙秘を続けました。中村さんの妻は、事件について本人の言葉で話す日を待っています。
中村さんの妻
「一番欲しいのは、まずは謝罪の言葉ですね。あと後悔の言葉もほしいですし…とにかく自分の言葉で話してほしい」
遺族や関係者は裁判で島津被告が動機や経緯を語り、事件の真相が明らかになることを望んでいます。