倒壊家屋から発見された将棋の駒 亡き妻の思いをのせて藤井八冠の「棋王戦」へ
珠洲市で倒壊した家屋から奇跡的に発見された将棋の駒が藤井八冠が初防衛を目指す来月の棋王戦で、使われる予定となっています。
男性が駒を提供することを決めたのは、地震で亡くした妻への思いがありました。
珠洲市で被災した塩井一仁さん、63歳。地震で自宅が倒壊し、妻の紀美子さんを亡くしました。
塩井一仁さん:
「あのあたりに妻がおって要はあのあたりの木に圧迫されてあそこで亡くなったような状況なんです」
崩れた天井の下敷きになり亡くなった紀美子さん。
その失意の中で、がれきの山となった自宅からでてきたのが将棋の駒でした。
(Q見つかった時どんな気持ち?)
塩井さん:
「うれしいの一言ですね。この状態で家が壊れているのでこのままがれきと一緒に将棋の品物も廃棄処分されても仕方ないかなと思っていましたので ・・・」
実はこの駒、今月24日、金沢市で行われる藤井聡太八冠の初防衛戦、棋王戦5番勝負 第2局に提供される予定の駒。ただ、塩井さんには迷いがありました。
塩井さん:
「家が倒壊して妻が亡くなるような不幸があって棋王戦に盤を提供するのはやめようと思った。」
一時は駒の提供をやめようと考えた塩井さんですが、紀美子さんの遺影や遺骨を前に考えが変わったといいます。
塩井さん:
「妻の遺骨を前に、妻は将棋のことをどう思っていたか考えたときに」
「妻も喜んでいるように思った」
「これが唯一盤駒の鍵盤に出そうかなと思っている一つ駒としては完璧な状態で奇跡的に残っていたと」
「妻がみつけさせてくれたのかな」「将棋に対して応援してくれていたのかなと…やめようと思ったけど妻も応援してるなら盤駒提供しようかなと」
「今回またゼロからスタートして駒をつかってもらう」「日常を取り戻すという意味で今年もお願いしようかな」