女川原発差し止め訴訟 原告は「上告せず」高裁判決“棄却”を受け住民グループ〈宮城〉
東北電力・女川原発2号機の再稼働差し止めを求め、11月27日の高裁判決で「棄却」を言い渡された原告の石巻市住民グループが2日、最高裁への上告をしない方針であることを明らかにした。
この裁判は宮城県石巻市の住民グループが、女川原発2号機の重大事故を想定した避難計画に実効性がないとして、東北電力に対して再稼働の差し止めを求めたもの。
11月27日、仙台高裁は「原発の運転差し止めを命じることができるような具体的な危険について立証があったとは言えない」などとして、一審と同様に原告側の訴えを退けていた。
原告団は上告しない理由として「本判決は、避難計画に全く踏み込まなかった門前払いの一審判決と異なり、避難計画の内容に踏み込んでいる。避難計画を争点とする他の訴訟も、一審判決と同様の判決を数多く受けている中で、仙台高裁が避難計画の内容に踏み込み、かつ、判断基準まで示して出したことは注目に値し、他の訴訟にとって有益である。上告及び上告受理の申立をすれば、現存の最高裁の状況からして、門前払いの一審判決に戻る可能性を否定できない。その場合、避難者からの訴えを棄却した最高裁の令和4年6月17日福島第一原発事故の国家賠償訴訟に下級審が例外なくひれ伏している状況に鑑み、避難計画を争点としている他の訴訟に壊滅的な悪影響を与える可能性がある」と発表している。