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震災遺構 時を経て向き合う課題 維持費用に年間2500万円 #知り続ける

2025年3月10日 22:00
震災遺構 時を経て向き合う課題 維持費用に年間2500万円 #知り続ける
東日本大震災から14年。
宮城県内には、震災遺構を含め31の伝承施設があります。

鎮魂の場、教訓を学ぶ場として保存される一方で、時間経過による劣化などの課題とも向き合う震災遺構のいまを取材しました。

■維持費用に課題 山元町の震災遺構 中浜小学校

山元町の震災遺構・中浜小学校です。

語り部)津波の高さ10.2メートルです
子ども)10.2メートル?

中浜小学校では、子どもたちが避難した屋上の倉庫を当時のまま保存するなどして、津波の恐ろしさや避難の教訓を伝えています。

語り部の話を聞いた児童
「屋上で一晩過ごしていたことが、食べ物とか飲み物もないのに一晩過ごしたのがすごいと思った」
「水とか自分のできる範囲をやって、声がけとか助け合いをした方がいいと思いました」

語り部・窪田恵美さん
「みなさん、ユーチューブで見ましたというけれど、実際ここに来て避難した場所をみると、感じるものは違うので実際自分の目で見ていただければ」

昨年度およそ2万人が訪れた中浜小学校ですが、訪れる人はコロナ下を経て減少傾向にあり、入館料の収入は年間850万円。
一方、震災遺構の維持と運営には年間2500万円かかり、山元町にとって課題となっています。

■経年劣化が進む 石巻市の震災遺構 大川小学校

津波で児童・教職員84人が犠牲となった石巻市の震災遺構・大川小学校。

大川伝承の会 鈴木典行さん)きれいな顔してたんです。ほっぺ叩けば起きるんじゃないか。ほっぺ叩きながら大声出したんですけど、目を開けることはない。残酷としか言いようがない、言葉にならない、当時のことは。子どもたちが土の中から出てくる。それを抱き上げて抱きしめて子どもたちを並べなければいけない」

遺族らによる語り部活動が続けられる一方、校舎の経年劣化は進んでいて、2024年12月には外壁のタイルの一部が崩れてしまいました。

石巻市は「ありのままで保存する」として、大規模な補修は行わない方針です。

この方針について、遺族の一人はー。

大川伝承の会 佐藤敏郎さん
「ありのままを伝えるために手をつけないというのは、ほったらかしにするのではなくありのままを伝えるための残し方、メンテナンスはあると思う。どうすればいいのか、見通しをもってその場しのぎではなく考えていけたら」

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