長期入院の高校生にも授業の機会を 『県内初』学校の授業を遠隔で受けられる通信機器を導入 島根県出雲市
がんなどによって、長期入院をする高校生にも学びの機会を届けます。学校での授業をリモートで受けられるようにする通信機器が島根県内の医療機関で初めて導入されました。
画面越しに学校と病院を結び、教育を受けるための通信機能内蔵ロボット。島根県のがん診療連携拠点病院である出雲市の島根大学病院では、長期入院をする小中学生を対象に、院内学級を設置し、病院内で学校の授業を受けることができます。しかし、長期入院の高校生にはその設備がないことから、これまで高校生の患者が独自で学習の機会をつくってきました。
島根大学病院子どもとAYA世代サポートセンター長安田謙二さん
「昔であれば治療中は、無理しなくてもいいとか、あるいは留年して来年元気になったら学校行ったらいいんじゃないかという考え方もしていた時代もございました。学習をすること、学習の機会というのは子どもさんの生きるエネルギーの源」
島根大学病院では、2週間以上の長期入院をする高校生は、2022年で38人、去年は51人と増加傾向にあります。学習の機会を求める声があったことなどから島根県内の病院では初めて、高校生のリモート教育の整備を導入したのです。
通信機能内蔵ロボット「kubi(クビ)」を利用した通信システムは、人の首のように上下左右自由に動かすことができます。これを、高校の教室と結ぶことで、病室の高校生が自ら操作しながら授業を受けることができます。島根大学病院では、「島根県のがん対策募金」を活用し「kubi」のシステムを2セット約80万円で設置、去年12月から実際に遠隔授業としての活用を始めました。
島根県健康福祉部健康推進課 がん対策推進室 和田久史 室長
「学習の機会をきちんと提供すること、それによってさらには治療に向けて意欲的に取り組んでいただく。そういった環境を関係者のみなさんと一緒につくって いきたい」
島根大学病院では、こうしたシステムを導入することで、高校生が主体的に授業に参加し、将来の夢の実現などへつなげていきたいとしています。