「子ども連れだと難しい」と課題も… 島根原発事故に備え過去最大規模の避難訓練 12月の再稼働控え30キロ圏内の自治体参加 同時地震も想定し複合防災 島根県
12月に予定される島根原発2号機の再稼働を前に、島根県で11月16日、原発事故を想定した過去最大規模の避難訓練が行われました。訓練には島根原発から30キロ圏内にある松江市と出雲市、それに安来市から合わせて355人の住民が参加し、原発事故と地震の同時発生を想定した複合的な防災訓練も盛り込まれました。
島根・鳥取両県に広がる30キロ圏内の住民は45万人以上。多くが個人の車両や避難バスを使い、短時間で島根県西部や鳥取県東部、さらに近隣の岡山県などへ移動することになります。このため、避難先への誘導や現地での受け入れ体制の整備のほか、中継点で車両の放射線量を確認する作業など、多岐にわたる対応が計画されています。避難先の一つ、島根県大田市の中学校では、地域住民も協力し炊き出しを行うなど、官民一体となって受け入れ手順を確かめていました。
今回は地震の同時発生も想定し、能登半島地震で道路が寸断された事例を参考に通常とは異なる避難ルートを設定。さらに、建物の倒壊に備えた屋外避難なども実施されました。参加者からは「子ども連れだと、食事をする場所が狭くて難しい」といった声の一方、「訓練は必ずやった方がいいと思う。少しは安心感が出る」などと評価する声も聞かれました。島根県の丸山知事は「原発の安全運転が第一だが、避難計画の迅速な実行も必要」と訓練の意義を強調しました。
16日には鳥取県でも避難訓練があり、原発から30キロ圏内にある米子市と境港市の住民約170人が参加しました。12月の原発再稼働を前に、避難計画の周知や協力体制の整備など、改めて周辺地域の住民の安全確保に向けた取り組みが重要となっています。