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“店の看板“や“電線の鳥”ってどんな音?偶然出会った日常の風景を楽譜に見立てると…街には音楽があふれていた

2023年10月17日 19:33
“店の看板“や“電線の鳥”ってどんな音?偶然出会った日常の風景を楽譜に見立てると…街には音楽があふれていた
ビル街を楽譜に見立てると…

日常の何気ない風景。見方を変えると別の「何か」が見えてくる?あの大物タレントも体験したことがあるという、ちょっと不思議なワークショップに密着です。

9月、松山市内で写真を撮ったり、楽器を演奏したりする子供たち。このワークショップ一体、なーんだ?

ワークショップの準備は、その日の朝から始まりました。講師は、東京からやってきた西村直晃さんです。スーツケースの中から出てきたのは…

西村さん:
「全部楽器ですね。アフリカのカリンバという楽器でお土産屋さんでは定番。テルミン。雑誌の付録だった」

音を鳴らしたり、出したりするものがずらり。

きっかけは旅行先で眺めたビル街 「これ、どんな音がするんだろう?」

スタッフは松山市を拠点に活動するNPO法人「クオリティ・アンド・コミュニケーション・オブ・アーツ」。略して「カコア」のメンバー。

カコア 徳永高志 理事長:
「今年で19年になります。アートと人。アートと街。アートと地域を繋げようという間の役割をしようと設立しました」

現在、メンバーは12名。年に2、3回のペースでイベントを企画したり、アーティストの支援活動をしたりしています。

今回のワークショップはメンバーのひとり吉岡美紀さんの企画です。旅行先でのある出来事から企画を思いついたようです。

カコア 吉岡美紀さん:
「ビルが並んでいる風景があれ?楽譜っぽいって思った。突然、何の前ぶれもなく。で、この音どんな音がするんだろうって思って。でも、どうやってルールを作っていこうという事で行き詰まって」

企画は手つかずのままとなっていました。ところが7、8年が経ったころテレビの番組で偶然、西村さんを見かけ…

カコア 吉岡美紀さん:
「私が困っていたことが全部解決されていて出来ちゃってる。ちょっと悔しかったですけど(笑)」

西村さんにワークショップの講師を依頼しました。

環境音楽家の西村直晃さんが生みだす“偶然の音楽”とは

「のこぎり演奏」や「作曲」を行うという音楽家の西村さん。吉岡さんが見た、西村さんが出演した番組とは?

西村さん:
「タモリ倶楽部が出演した番組です。建物の屋上から見えるものを音符や楽譜に見立てるみたいな内容で自分たちで演奏する」

あの大物タレントも体験したという、「風景」から「音楽」を作るワークショップ。名付けて「まちのおと~音と遊ぼう~」には小学3年生から6年生13人が集まりました。

女の子(3年生):
「リコーダーとか楽器とか使えるのが楽しそうだったから(参加した)」

男の子(6年生):
「音楽って楽譜とかで作るけど、これはその時にしかない音楽が作れるのか何かよくわからなくて不思議だなと思って参加しました」

ワークショップ、スタート。

まずは、西村さんがお手本となる作品「街で偶然に出会ったものの音」を紹介します。

西村さん:
「鳥と電線って五線譜に見えちゃう人がいるんじゃないかと思うんですけど」

大街道で見つけたという100円ショップのディスプレイ。

西村さん:
「ボールがぶよぶよしている感じがしたのでぶよぶよ感のある音でやってみました」

子ども:
「理想的」

西村さん
「理想的?ありがとうございます。楽しみになってきた」

駅のホームの乗車口に貼ってあるテープからはこんな音が。指をスライドさせて音を出す楽器を使います。

西村さん:
「シュールな内容なので大丈夫なのかなというのはあるんですけど、子どもたちの方がむしろそういう世界に親和性があるかもしれないので、そういう意味では期待はしています」

「楽譜にできそう」 街中で見つけたロゴマークやイラストを“音に変換”

「風景」を「音楽」にするイメージを膨らませたら4つの班に分かれて、まずは撮影に出発です。与えられた時間は15分。

そして、撮影した写真で音楽づくりです。「建物の階段」はどんな音?

西村さん:
「階段の感じがゴシゴシって感じがするから僕だったら(レコードをスクラッチする)」

会社のロゴマークは?

男の子:
「ここが5秒でここが1秒であけて2秒1秒あけて2秒」

マークの切れ目で音の長さを変えるようです。楽譜も作りました。

コーヒー豆のイラストは? 

女の子:
「タンタンタンタン」
カコアのスタッフ:
「難しくしてタタタンにしてもいい」

居酒屋のちょうちんは?

女の子(居酒屋の看板):
「提灯がタンで、黒いライトの所がウン(休む)」
西村さん:
「ここがスタートって決めて、タタタタみたいにするとこの四角がギターにも似てるので」

自分が持ってきた楽器や用意された楽器で練習を重ねて、最後に、写真の前で音楽の発表です。

西村直晃さん:
「思った以上のレスポンスがあって、それぞれの工夫している所が違うのが面白くて進行するのとかを忘れてしまうくらい僕も没入して楽しめた」

みんなが見つけた音の写真を西村さんが動画作品に仕上げてくれました。

男の子(4年生):
「(最初は)どんな事をするのかよくわからなかったけど身近な音楽を見つけるのがとても面白かった」

女の子(3年生):
「楽譜にできそうやと撮ってみたらホントになりました。街中にもすんごい音があふれていることが分かって嬉しかった」

吉岡さん:
「実際に始まってみると勝手に子供たちがどんどん音を街中で見つけて形にしていってくれたので何も心配することなかった」

見慣れた風景を「聴いてみる」と、住み慣れた街でも新たな発見がある!…かもしれません。