20年のプロ生活に幕…「タイトルに愛された男」愛媛FC・森脇良太選手がチームに残したもの
今シーズン限りで現役を引退した、愛媛FCの森脇良太選手。彼がチームに残したもの。そして、新たな夢…タイトルに愛された男の「THE LAST DAY」です。
森脇選手:
「僕、森脇良太は20年間のプロサッカー生活、プロキャリアの歩みを終える決断をしました。今思うことは愛媛FCに帰ってきて、帰って来られて本当に嬉しい思いでいっぱいです」
森脇 良太。38歳。今シーズン限りで、20年に及ぶプロサッカー選手としてのキャリアを終えました。広島、浦和、京都…そして愛媛。J1からJ3、すべてのカテゴリーで優勝を経験。Jリーガーとして得られる、ほぼ全てのタイトルを手にしたレジェンドが、ピッチを後にします。
森脇選手:
「やり切ったっていう思いもあるし、次のステップに向かっていきたいという、なかなか…こんな選手は僕はいないと思ってるんですよねほんとに」
森脇選手:
「おはようございます…朝早いのに…ごめんなさい。ほんと、朝早くから」
楢崎アナ:
「朝早いですね」
森脇選手:
「ヒゲもまだ剃ってないし…顔がまだ整っていないんでね。ちょっと恥ずかしいけど」
午前7時。トレーニングの2時間前に、練習場に姿を見せた森脇選手。
楢崎アナ:
「朝、この早いサイクルは、もうずっとですか」
森脇選手:
「ずっとですね。基本はクラブハウスに早く来て、体の準備をするっていうところがあるんで。そのルーティーンはずっと変わってないですね」
選手生活20年目。万全な状態で試合に臨むため、朝早くから準備を始める森脇選手。引退を表明しても、最後の最後までその姿勢は変わりません。
2005年、J1・サンフレッチェ広島でプロとしてのキャリアをスタートした森脇選手。2年目の2006年に、愛媛FCに期限付き移籍。Jリーグ初出場。そして初ゴールも、愛媛FCの選手として記録しました。その後、広島、浦和レッズでも優勝を果たすなど、数多くのタイトルを獲得しました。
そして愛媛FCがJ3に降格した2022年、15年ぶりにクラブに復帰。ピッチの内外でチームを支え、去年のJ3優勝にも大きく貢献しました。そのレジェンドが、ことし9月。今シーズン限りでの現役引退を発表しました。
森脇選手:
「今シーズンが始まる前に、自分の中では2024シーズンがラストイヤーになるなというのは、9割決めていた部分はありました。正直な自分の思いを言わせてもらうと、自分のベストコンディションが整えばまだまだ戦えるという自信もあるし、やれるんだという思いもあるんだけど、その期間が続かない。ベストパフォーマンスがあったとしても、次の日から3日、4日ぐらいはなかなか自分のコンディションが整わなかったり、疲労がかなり残ったり。そういった意味ではやっぱり体は正直だなと」
それでも年齢に抗い続け、今シーズンを戦ってきました。
森脇選手:
「愛媛がJ2に返り咲いた時に、この2024シーズンは重要なシーズンになると。このチームをJ2でも安定して戦うところから、さらに上のステージに上げたいっていう思いが強かったので、自分も選手として一緒に戦いたいという思いがあった」
去り行くベテランが残そうとしているもの。
迎えた現役、最後の日。
楢崎アナ:
「きょうがホーム最終戦で、セレモニーもあったりするけど。昨日の夜何か考えたりした?」
森脇選手:
「セレモニーの言葉を考えんといけんと思って。色々考えてたんやけど…」
この日、森脇選手は今季初のスタメンを告げられていました。
「やっぱり自分の中では、今日の試合はお祭りでもパーティーでも消化試合でもお披露目会でもないと思っているので。いつも通り、自分の思いは変わらないのかなと。とにかく愛媛FCのエンブレムを背負うということはどういうことなのか。責任や誇りを持ってきょうもピッチに戦いにいきたいな」
最後のその時まで、プロとして。森脇選手のプライドです。
今シーズン最後のホームゲーム。森脇選手にとって、現役最後のホームゲームです。試合前、スタジアムに用意されたメッセージボードには、たくさんの人が、森脇選手への感謝を綴りました。
森脇ファン:
「今年の夏って暑かったじゃないですか。でもそれ以上に森脇良太って熱いサッカーを見せてくれたなと思って。最後泣かずに、目に焼き付けて送り出したいなと思いました」
森脇ファン:
「こっちが辛い時にも森脇選手を見ると笑顔になれるくらい、太陽のような存在でした。最後まで、森脇選手らしいプレーを見届けたいと思ってメッセージも書かせてもらいました」
森脇選手:
「みんなここまでファイトしてきた!きょうの試合は生きるか死ぬかみんなで勝ちにいくよ」
Jリーグ通算463試合目。デビューを飾った場所で、現役最後の試合。失点直後、最初にチームを鼓舞する背番号3。
森脇選手:
「言葉よりも自分はプレーヤーでもあるので、ピッチで、プレイでそれを示したいなと。若い選手が愛媛FCには多いので、やる気に満ちている選手はたくさんいますけど、ピッチに立ったら、こうじゃなきゃいけないよというのを若い選手に伝えられたら、僕にとっては一番嬉しいこと」
後半8分、その思いがゴールへの扉をこじ開けます。右サイドから運んできた森脇選手のクロス。細かく繋げ、ファーサイドから同点に。森脇選手のクロスを起点に、同点に追いつきます。その直後、喜ぶより先にボールをセットする森脇選手。
タイトルに愛された男が、両チームの選手に見送られながらピッチを去りました。
森脇選手:
「きょうも最後まで声を枯らしてくれたファン・サポーターの皆さんこそが僕にとっても、愛媛FCにとっても誇りです。若い選手たちを、皆さんこれからも支えてやってください。みなさんの力強いエネルギーで、愛媛FCを、若い選手をサポートしてください」
選手として走り続けた20年。そして始まる新しい夢。
森脇選手:
「選手時代にJリーガーとしてとれるタイトルを全て獲らせてもらったわけなんですけども、監督としても、獲れるタイトルを全て勝ち獲りたい」