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路線バス減便へ 深刻化する運転士不足 バス交通の未来は 新潟市の公共交通 運転士の夢を追う若者も《新潟》

2024年2月25日 19:05
路線バス減便へ 深刻化する運転士不足 バス交通の未来は 新潟市の公共交通 運転士の夢を追う若者も《新潟》

市民の生活だけでなく経済にも影響を与える路線バスですが、新潟市内の路線バスは3月末に減便されると発表されました。背景にあるのは深刻な運転士不足です。路線バスの維持に向けた取り組みを取材しました。       

バスの運転士を目指す19歳の男性

この日、新潟市中央区の停留所に、バスを待つ男性の姿がありました。掲示される時刻表に思い入れがあるといいます。

新潟交通 伊藤千紘さん
「これを作っているのは実は私たち。実際にここに来て貼りました。ガムテープばかりで見栄えが悪いんですけど」

伊藤千紘さん19歳です。去年の3月に高校を卒業し、4月に新潟交通に入社。今は事務作業を行っています。

保育園の頃から乗り物が大好きだった伊藤さん。今年に入り挑戦していることがあります。

夢はバスの運転士

それは大型二種免許の取得。バスの運転士を目指しているのです。

新潟交通 伊藤千紘さん
「やっぱりバスですね。運転している姿が直接見えるので憧れを持ちました。電車と違って、運転士一人で運転したりアナウンスしたり、難しいことが求められる。そこがバスの運転士のすごさ」

新たなバスターミナル開業へ

いま新潟市の路線バスは転換期を迎えています。

JR新潟駅のリニューアルによって、3月末、新たなバスターミナルが開業。駅の南北がつながり利便性が高まると期待されています。

しかし、大きな課題も立ちはだかっています。

運転士不足で減便へ

新潟交通  古川公一常務
「喫緊の課題である運転士不足。在籍運転手の所定外労働でなんとか運行を継続している。(4月には)労働条件に規制がかかるため、さらなる要員の確保が必要に迫られている」

新潟交通は、先週の会見で「運転士不足が喫緊の課題」と強調しました。新年度には長時間労働の規制が強化される、いわゆる「2024年問題」に直面するため、さらに運転士不足が深刻化すると見込まれています。

このため新潟交通は3月末にダイヤを改正し、平日は134本、土曜と日曜・祝日はそれぞれ97本を減便すると発表。これは全体のおよそ5パーセントにあたります。

路線バス維持のため 新潟市の対策は

新潟市も対応を迫られています。

新たにバス運転士を応援する事業を立ち上げ、新年度予算案に1400万円を計上しました。免許の取得を支援するほか、新たに採用する運転士の家賃を助成します。

また、新たな需要を呼び起こすため、無料デーや中高生向けのバスチケットの配布などを行う考えで、予算案に1億3000万円を盛り込みました。

新潟市 中原市長
「いままで新潟市としてやってこなかったバス利用の喚起策とか運転手確保に踏み出した。バスのネットワーク確保の維持に繋がってほしいという思いで来年度事業に盛り込んだ」

運転士不足が続けば、路線バスの維持は難しくなります。

新潟交通が取り組む若手ドライバーの育成

そこで新潟交通が力を入れているのが若いドライバーの育成です。

こちらは小林竜河さん19歳。去年8月に入社しました。高校卒業後、数か月間は進学を考えていたといいますが・・・。

新潟交通 小林竜河さん
「いままで21歳にならないと取れなかった免許が19歳で免許を取得できるということで、もしかしたら、入社すればすぐ免許を取らせてもらえるのではという、ちょっとした期待もあった」

おととしの道路交通法改正により、大型二種免許を取得できる年齢が引き下げられました。これまでは21歳以上でしたが、特例教習を受講すれば19歳から取得が可能になったのです。

新潟交通は、この特例教習を利用して最短で運転士を育成する取り組みを始めました。現在3人の新入社員がこの制度を活用しています。小林さんもその一人。少しでも早く一人前の運転士になろうと進学をやめ、新潟交通への就職を決めたといいます。

新潟交通 小林竜河さん
「運転手不足で、全国的に見ても危機的な状況にあると思うが、自分たちが入社することで、若い世代に『若い人でもバスって運転できるんだな』と知ってもらって、運転士をやってみたいというきっかけを作れたら」

運転士を目指している伊藤千紘さんです。

この日、向かう先は教習所。移動に使うのはもちろん…路線バスです。

バスに乗る心持ちにも変化があったといいます。

新潟交通 伊藤千紘さん
「入社前は運転士の姿や景色を見ていたが、入社してから運転士になるために、アナウンスや乗り心地の良さ、アクセルワークやクラッチがどうつながっているか細かい部分まで気にするようになった」

子どもたちに「運転士の仕事いいな」と思ってほしい

伊藤さんはことし1月から業務時間に教習所へ通っています。検定が迫り、本番を意識した練習も行っています。

新潟交通 伊藤千紘さん
「2番のポールに今回あわせたんですけど、これも検定の一種。中扉の幅に収めるようにとめる。目印になる物がないので、一番使っているのがこの路肩灯。これがミラーで見えるのでこれを頼りにして感覚で止めている」

全長10メートルほどある大型バスの運転。難しさを感じていました。

早ければ5月頃には運転士としてデビューするといいます。

新潟交通 伊藤千紘さん
「憧れの職業ではあったので、そのスタートラインに立つことができ、モチベーションは結構上がっている。安全で快適な運転をすることを目標にしていきたい。小さい子も『運転士という仕事いいな』と思えるような運転士になりたい」

転換期を迎えている新潟市のバス交通・・・。
課題に直面にしながらも夢を追う未来の運転士が育っています。


2024年2月23日「夕方ワイド新潟一番」放送より