長引く物価高 信州経済の行方は… 各界の経営者が語る2025年展望
いよいよ来週に迫った、アメリカ・トランプ大統領の就任式や、長引く物価高。わたしたちの生活に直結する信州経済の行方は。
寺澤達哉アナウンサー
「今年は巳年。ヘビは脱皮をすることから飛躍の年とも言われています。2025年、信州の経営者たちは今年の経済をどう見るんでしょうか、聞いてきます」
―――――――金融――――――
八十二銀行 松下正樹 頭取
【人材への投資】
「今年はいろんな意味で不透明感が強いんですね。そんな中でどういった経営をしていくかということになった場合、いろいろ考えてもしょうがないんですよね。というのは会社というのは基本的にはそこに勤める従業員、人材の人たちがどう活躍してくれるかということがこれから不透明感を脱却・払拭して進んでいく力になる。そういう面では今年1年はさらに人材への投資を強化していくこと、これがまさに長野県経済の行方を占っていく。そういうことから人材への投資が1つのポイントということで書かせていただきました」
―――――――製造業―――――
【人材への投資】を目に見える形で表す経営者は。
オリオン機械太田哲郎 社長
「まずこの【ベースアップ】という部分をみんなで考えなきゃいけないなというのが、一番ポイントじゃないかなと思います。少しでも上がったって部分が気持ちの上で、やっぱり高揚感も出てくるし、気持ちが前向きになってくるっていうところが景気の中では絶対重要なので、中小企業の場合は価格転嫁。これが経営者自ら実行する。できなかったら社長変わってやれる人がやるっていうぐらいの会社の変わり方という部分では、トップが自ら価格転嫁。ようはコスト上がってるわけですから、人件費も上がるんだという前提の中で、やっぱりお客さまと交渉を命がけでやるという覚悟が。まず必要じゃないかと、自分自身にも言い聞かせています」
―――――エンタメ――――――
【ベースアップ】に向けては、社会全体での取り組みが欠かせません。
中谷商事 中谷冨美子 社長
「女性活躍とか女性進出の問題で仕組みとかそういうものではなくて、それも大事なことなんですけれども意識を変えていかないとそれは進んでいかないのかなと思って。
【意識改革を進めて】にしました。もう1つ/給与を上げていこうというのは経営者側だけではなくて、働いている人。労使両方で変えていく、それも意識改革の1つだと思うんですけれども、で盛り上げていかないと、今、物が高いとか、消費が冷え込んでいるとか言っていますけれども。そういうことも意識を変えていってどんどん進めていかないといけないなと思います」
―――――――食品―――――
【意識改革を進めて】いけば、新たな分野を開拓できるかもしれません。
ホクト水野雅義 社長
「気持ち的にやっぱりネガティブになっていてはいけないというのが本当に正直なところ。だからいろんなことで物価高になっている、あるいはいろんなエネルギーコストだ、原材料も上がっているっていうことでは、どちらかというと、そちら側のことを考えると疲弊してしまうというところがあるんですけど、こればっかり言っていると何も前に進めないと。もうこういうような世の中で生きていかなければ、やっていかなければならないということを考えると、そこについてどうのこうの言っていてもいけないので、とにかく自分たちで切り拓いていくという、そういう気持ちを持っていかなければいけないのではないのかなというふうに思っています」
―――――――AI――――――
【前進する勇気】は、経営姿勢にも影響します。
アドヴァンスト・インフォーメイション・デザイン戸谷典孝 社長
「積極的に【攻】める年にしたい。その代表的なものは生成AIだと思っていまして、ビジネスにつなげるような展開ができるかなと思っておりまして、そういったものを中心にお客さまに対しては攻める、もうひとつ裏があって、ご承知の通り、年末いろんな機関に、金融機関含めてサーバー攻撃みたいなのが起きておりまして。セキュリティーに関しては自社も当然そうなんですけど、必要なことを対策している上で、今度はお客さまにもそういったものを積極的に提案していきたいなというようなことを込めて合わせて攻めるということを表現させていただきました。もうアナログにはなかなか戻れないでしょうし、紙をさらに使ってという時代ではないですから。「基本的にはデジタル中心にいろんな改革を推し進めていく必要があると思っています」
――――――会長―――――――
さまざまな思いを持って新年を迎えた経営陣に対して、県経営者協会の碓井稔会長は。
県経営者協会碓井稔 会長
「まさに今年は経営者の覚悟が問われる一年、そして経営者の覚悟が真価を発揮する一年。私もトランプ政権が誕生したら、かなり厳しい関税政策やそういったことが起こるだろうというふうに考えておりましたけれども、まさかグリーンランドを自分のものにしたいと、あるいはパナマ運河だと。安全保障上、非常に重要な地域あるいは拠点だということは分かりますけども、今までずっと培ってきた私たちの世界、この秩序がどうなることかということで非常に危惧をしております。脱炭素に向かって世界は進もうとしてきていました、しかしこれも停滞せざるを得ないというふうに思います。しかし、私たち長野県の経済は、自然とともに今までずっと培ってきたわけで、こういったものがこれからの経済のけん引役にならないということはあり得ないというふうに思います。ここにいる皆さんの叡智とともにそして覚悟とともにですね、従業員の皆さま、そしてこれから皆さま方の会社に入っていただける多くの仲間たち、この仲間たちに期待に応えるだけの環境をつくりだしていくことが絶対に必要だと思っています」