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新型コロナ5類移行…銀行に公的資金…値上げの波… 揺れた山形県内経済

2023年12月12日 17:25
新型コロナ5類移行…銀行に公的資金…値上げの波… 揺れた山形県内経済

ことし1年の出来事を振り返る「カメラが見つめたやまがた」です。5回目は新型コロナや物価高など国内外の情勢に揺さぶられた県内の「経済」に焦点を当てます。

かつて大人の社交場としてにぎわいを見せた酒田市の「ナイトスポット白ばら」。一時期の閉店を乗り越え、2017年に復活したその輝きは華やかな時代の再来を期待させるものだった。しかしー。

白ばら友社・佐藤仁さん「1人でも多くの人に白ばらを愛してほしい思いだった」

新型コロナがその期待を打ち砕いた。去年の年の瀬、昭和のともしびがまた一つ、消えた。施設を運営する「白ばら友社」では12月14日まで会社の譲渡先を募集している。
新型コロナ、武力紛争、物価高、円安…。県内の経済情勢は依然、厳しさの最中にある。

岸田首相「新型コロナを感染症法上の5類に移行する方向で議論を」

およそ3年続いた新型コロナ対策がことし、大きな転換点を迎えた。感染症法上の位置付けが引き下げられ、制限もほぼ撤廃された。
5月 薬師祭植木市。

訪れた人は 「ずっと来ていたが今回が4年ぶり」
山形商工会議所・荒井大樹さん「来年再来年とこの伝統をつなげていきたい」

8月 山形花笠まつり。

「コロナで帰省できなかったがやっぱりいい」「最高に楽しかった山形のソウルフェスティバル」

9月 日本一の芋煮会フェスティバル

「ショベルカーで混ぜててびっくりした。めっちゃおいしい」

「制限なし」、「4年ぶり」の言葉が踊ったイベント開催。経済活動も戻りつつあると予想されたが…。

山形駅前はながさ通り飲食店組合酒井貞昭理事長「県外客の数も増えているが人手の割に売り上げが伴わない。客単価はコロナ前の半分に近い状況」

こうした中、きらやか銀行は全国の地方銀行で9年ぶりに公的資金の注入を受けた。額は180億円。その意味について飲食や宿泊などサービス業の取り引きが多いきらやか銀行は「コロナ禍で傷んだ企業の下支えが目的」とした。

きらやか銀行・川越浩司頭取「しっかりと企業を支えていくのがきらやか銀行としての責務。それがひいては地域経済を支えるものと私自身は考えている」

一方、山形銀行はことし、18年ぶりとなる頭取の交代を発表した。

山形銀行・長谷川吉茂前頭取「県の発展のために能力を発揮できる人。適時適切な人事をやった」
山形銀行・佐藤英司頭取「お客様にどう寄り添うかが課題であり使命」

11月に発表された日銀短観によると、宿泊や飲食などの県内の個人消費は回復しつつある。その一方で…。

東北電力 樋口康二郎社長「電気料金を6月から平均で約25%の値上げを実施」

酒田市の運送会社ではー。

エイエスエムトランスポート・工藤亜紀子社長「電気料金が前年比約140万円上昇」

温室サクランボ園を営む東根市の農家では、電気代が去年の倍に。

神町りんご研究所・須藤一元代表「我々もそうだが、お客様も値上げに苦しんでいる」

エネルギー価格も高騰が続いた。県内のレギュラーガソリンの1リットル当たり平均小売価格はことし9月、過去最高値の191・9円に。

ジェイエイライフセルフSSポートさがえ工業団地佐藤直樹副所長「満タン給油ではなく定量給油の客が多いと感じる」
来客「高騰の影響は大きい。家計に直結する」「政府の補助金に期待」

県内のレギュラー価格は12月4日までに6週連続の値上げ。年末にかけ、再びじわりと価格が上がっている。
去年の暮れからことしにかけて全国各地の養鶏場で確認された鳥インフルエンザウイルス。全国でおよそ1771万羽が殺処分された。
この影響を受けたのが山形名物の「冷たい肉そば」。

谷地の肉そば会・杉浦正人会長「提供できる数量は限られてくる。鶏肉がなくなってくると経営的にも厳しくなる」

肉そばに使われていた親鳥、特に歯ごたえのある定番の「もも肉」の流通が停滞した。
一時は親鳥の「胸肉」も使って、肉そばを提供していたこちらの店舗を再び訪れるとー。

こぶ原・阿部店長「寒くなって肉そばの需要が落ち着き、親鳥のもも肉だけを使っている。業者に問い合わせたところ来年の夏ぐらいには正常に戻るとのことだった」

来年は金融相場の格言で「景気が良くなる」とされるたつ年。厳しい状況が続く暮らしが少しでも上向くよう期待したい。

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