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卸売市場の再開 仮設風呂の設置 住民たちが協力して一歩ずつ前に進む七尾市 取材記者が現地報告

2024年2月9日 18:35
卸売市場の再開 仮設風呂の設置 住民たちが協力して一歩ずつ前に進む七尾市 取材記者が現地報告
能登半島地震のYBC取材班の現地報告です。建物被害が石川県内最多など、断水の続く七尾市の状況をお伝えします。七尾市には、「能登の台所」と呼ばれる能登半島唯一の公設の卸売市場があります。被災から1ヵ月がたち、仮設の修理作業を終え、ようやく営業を再開しました。

2月2日午前6時、七尾市公設地方卸売市場です。

古川真斗記者「きのうから再開した七尾市の市場には名物のブリがずらりと並び威勢のいい声が戻っています」

「能登の台所」とも呼ばれる七尾市の公設卸売市場。今が旬のブリが続々と運ばれてきました。この市場は断水が発生したほか、駐車場に亀裂が入り、地震後、休業が続きました。施設の仮復旧作業に1か月ほどかかり、2月1日にようやく営業を再開しました。
七尾市内で鮮魚店を営む中島昌伸さんです。

中島ストアー中島昌伸さん(きょうのブリはどう?I)「最高だね、最高」

市場の再開を心待ちにしていました。

中島昌伸さん「被災者のみなさんにも少しでもいい魚を提供して喜んで食べてほしい」
「いらっしゃいいらっしゃ~い」

早速、競り落としたブリを店に持ち帰り、さばいていきます。

七尾市からの買い物客「1月1日の地震でお正月に贅沢が出来なかったのでブリを買ってみんなで分けて贅沢しようかなと」

中島昌伸さん「やっぱり今まで通りというか前の状態に戻ることは無理かも分からないが活気ある市場になってほしいと思うね」

キャスター「七尾市は、タラやイカなど、海産物で有名ですよね。旬のブリも含めて市場の再開は、被災者も元気が出る明るい話題ですね」

古川記者「はい、地元の漁師たちは、『地元の市場に魚を運べたことはとてもうれしい』と、市場の再開を喜んでいました。一方で、七尾市は今も断水が続いています。

今回取材した市場は、水道の代わりにろ過した海水を使い魚の鮮度を保つ氷を作っていたほか、取材した中島ストアーは、井戸水を活用して魚を洗っていました。
また、山形県からも山形市の職員らが給水支援を行ったほか、神町駐屯地の陸上自衛隊第六師団が被災地で入浴支援を行いました。

キャスター「ことしは暖冬とはいえ2月の寒さから体を休めるためにもお風呂で温まることは重要ですよね」
古川記者「はい、地震以降、なかなかお風呂に入れなかったという声が、多く聞かれました。こうした中、私たちは、七尾市内で住民たちが一から作り上げた仮設風呂を取材しました」

七尾市内の住宅地の一角に住民たちも参加して作った施設があります。
それがこの仮設風呂です。温かいお風呂で住民がリフレッシュできるよう、1月14日に完成しました。誰でも無料で使うことが出来ます。

利用客(湯加減はどう?)「めっちゃ気持ちよかったです」
利用客「風呂は3日ほど入っていないので気持ちいい」

衛生面を考慮し、入浴方法は湯船につからない「かけ湯式」。室内は体が冷えないように30度に保たれています。また、隣には木造の待合室も建てられて、温まりながら順番を待つこともできます。

「ぜひ来てください」

仮設風呂を作った篠原雄一郎さん。篠原さんは妻の実家のある七尾市に家族で帰省中、大きな揺れに襲われました。街が被災し、地域の人たちと協力して生活する中で・・・。

「住民が風呂が今あったら夢だなと話していて仮設の風呂を作らせてもらうことになった」

関東で建設会社を経営する篠原さん。早速、従業員に連絡し仮設風呂の建設に取り掛かりました。すると・・・。

篠原さん「地元の業者が地域のためだったら手伝ってやるとすぐ駆け付けてくれたり建築屋さんが水道の配管工事をやってくれたり皆さんの力があって仮設風呂ができた」

また、風呂に使う水は、近くで被災した入浴施設がぜひ使ってほしいと協力。1月12日に着工し、2日後の14日には、待望の風呂が完成しました。
今では、「体の芯まで温まる」と評判になり、毎日50人ほどがこちらの風呂を利用しています。

「熱い!ほんとに熱かった!」

篠原雄一郎さん「ちょっと熱いってね。でも温かい方がいいのかなと思ってます。僕も風呂に1週間入れなくてしんどい思いをしたので少しでもこのお風呂がみなさんのためになってくれれば」

篠原雄一郎さん「また来てくださいありがとうございます」

キャスター「入っていた皆さんも本当にほっとしているような顔をされていましたね」

古川記者「はい。お風呂に入るとゆっくり眠れると話す人もいて、まさに、住民の憩いの場となっていました。今回の取材中、住民の皆さんからは、全国から集まる支援に感謝しているという声が多く聞かれました。今後は、交通網の復旧や受け入れ体制の整備に伴いボランティアの受け入れも増加が予想されます。引き続き、長期的・継続的な支援が今後も必要になると感じました」