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区間運休続くJR米坂線 小国町で山形・新潟両県が復旧への機運高めるイベント開催

2024年9月2日 17:59
区間運休続くJR米坂線 小国町で山形・新潟両県が復旧への機運高めるイベント開催

JR米坂線は、おととし発生した豪雨被害の影響で今も区間運休が続いています。被災から2年が経ち、復旧の目途が立たない中、小国町で、復旧への機運を高めるイベントが開かれました。

JR小国駅前の広場で31日い開かれた「米坂線復活絆まつり」。沿線自治体と住民らでつくる協議会が主催しました。
会場には、山形・新潟両県の地元特産品の販売や、復旧を呼びかけるオリジナルソングの披露。復旧の署名活動も行われ駅舎周辺は活気に包まれていました。

小国町から「長年走っていたのが水害でなくなったということで非常に交通として列車がないと不便なところがあるし復活してほしいと思って署名した」
白鷹町から「新潟に行く時に使っていた。もともと鉄道が好きで米坂線は川沿いをゆっくり進んでいくのがいい」

イベントには、山形新潟両県の知事も出席。復旧への思いを語りました。

吉村山形県知事「JR東日本や政府にも要望をしてきた。きょうが復旧への本当のスタートだと思う。みんなで力を合わせて米坂線を復活させるんだと強い思いを持って取り組むことが一番重要」
花角新潟県知事「90年近い歴史ある米坂線。 地域の皆さんの足でもあり子どもたちの通学の足でもあり多く観光客の足でもある。JRには復旧していただきたい」

JR米坂線はおととし8月の豪雨で橋が崩落するなどして、いまも長井市今泉と新潟県村上市の坂町の間で区間運休が続き、今もバスによる代行輸送が続いています。

JR東日本はこれまで米坂線の復旧について、費用はおよそ86億円、工期はおよそ5年との試算を発表しています。
ことし7月の定例会見で、JR東日本新潟支社の白山弘子支社長は次のように述べました。

JR東日本新潟支社白山弘子支社長「米坂線の議論を前に進めることが重要だと思う。一方で、様々な自治体のみなさんがいて考えも様々あると思う。方向性を一つに絞ることは大変だが丁寧に議論していきたい」

JRと沿線自治体などではこれまで3回にわたり、米坂線の復旧方法などを検討する会議を実施してきました。その中でJRは、4つの復旧方法について提案しています。
1つ目は災害前と同様JRが車両の運行や施設の管理を一括して行う方式。2つ目はJRが運行を担い、沿線自治体が施設の管理などを行う方式。3つ目は第3セクターなど地域が運営する方式。最後の4つ目は運休区間の路線を廃止し、鉄道ではなくバスで運行を続ける方式です。これに対し、県内の沿線自治体は、JRだけでなく国も復旧に関与すべきだと訴えています。

米坂線期成同盟会会長 仁科洋一小国町長「小国のような中山間地の自治体で足のないところに人は来ない。JRだけでなく国がもっと地方の活性化を考えるのであれば関与すべき」

近藤洋介米沢市長「民間企業といってもかなり国民の税金が入って今のJRがある。民間企業だから知らないは違和感を感じる。JRのほか国にも鉄道予算は少ない中だが復旧をお願いしたい」

しかし、JR東日本は、86億円という復旧費用や、利用者が減少する中で、持続可能な運行は見込めないとしてJR単独で路線の復旧は難しいとの考えで一貫しています。

JR東日本新潟支社 三島大輔企画総務部長(当時)「被災前と同じように当社が運営することを前提とした復旧は民間企業としては持続可能性の観点から難しい」

米坂線の寸断から2年。JRと自治体間の協議は続けられているものの、いまだに進展は見えていません。吉村知事は、「両県沿線自治体の路線復旧を求める考えは一致している」として、地元から復旧を求める声を上げ続けることが重要だと話します。

吉村山形県知事「全線鉄道復旧とJRによる復旧で考えは一致している。米坂線を復旧させるという強い思いを継続することが実現につながると思う」
花角新潟県知事「復旧の機運盛り上げや地域住民の思いをつかむこと。利用促進策も含め知恵を出していかなければいけない。復旧させるにはお金がいるわけでJRに一義的には頑張ってきただき国の支援も必要だと思うし地元自治体でもどういう協力ができるのか」

多額の復旧費用、そして、利用者減少という課題を前に米坂線をどう復旧させていくのか。JRと自治体による議論は今後も続いていきます。