【特集】「幸せは食が運ぶ」物価高でも“小4以下無料” 子育て応援レストラン「なないろ」の挑戦
今年5月に甲府市にオープンしたレストラン「なないろ」は、保護者同伴なら小学4年生以下は無料というお店です。食を通して子育てを応援したいー。オーナーの熱い思いと無料サービスを可能にする秘密を取材しました。
きれいに盛り付けられたサラダやチンジャオロース。
今年5月、甲府市のリッチダイヤモンド総合市民会館にオープンしたレストラン「なないろ」です。
1000円でビュッフェを楽しむことができ、 大人同伴なら小学4年生以下の子どもは無料になります。
オーナーの手塚誠二さんは、自身も3人の子どもを育てるお父さん。食事を通じて子育て世帯を応援をしようと、この店を立ち上げました。
レストラン「なないろ」手塚誠二さん
「今の現状、厳しい時代なんですね。物価高とかで。ご飯を食べに行くという事を拒んでしまう人が多いと思う。それを少しでもお母さんのお仕事の後の家事を少しは楽にしてあげたりとか、色々なことを思って今回はこのお店を開かせてもらっています」
レストラン「なないろ」は昼と夜の営業です。平日は100~130人、週末は200人を超える家族連れなどで賑わいます。
利用客は
「いっぱい色々な種類の野菜を食べてくれたり、魚や肉を食べさせてあげられると、よかったなと親としては思います。いつも野菜を家だと食べなくて、時間がすごくかかってしまう。でも今だとペロッと一皿食べちゃっていたので、場所も違うし味もおいしいんでしょうね」
野菜をふんだんに使った手作り料理が手塚さんのこだわりです。
レストラン「なないろ」手塚誠二さん
「40~50種類は必ず(メニューを)出すようにしています。見る方からするとそのくらいあると圧倒もしますし『あー!』ってなるんで。楽しいじゃないですか、『すげえ』ってなるんで」
とある平日の深夜2時、手塚さんの姿は甲斐市内の工場にありました。実は手塚さん、レストランとは別にカット野菜工場の経営者というもう一つの顔があります。
レストランで彩り豊かな野菜をふんだんに提供できるその理由は、自ら経営する工場でカットした野菜を使い、コストを抑えることができるからなんです。
この後、市場で野菜を仕入れた手塚さんはいったん家に戻り、子どもたちの朝の支度を手伝うと再びレストランへ。この日もお店には多くの家族連れが訪れ、たくさんの料理に舌鼓みを打っていました。
レストラン「なないろ」手塚誠二さん
「自分はもともとやりがいがあってやっているので、楽しみの方が強いっていうか。でも眠い時は眠いですよ(笑)」
給食がなくなる夏休みは、子どもの食費に悩む保護者も少なくありません。そこで、手塚さんは月・木・金の週3回、高校3年生までを対象に40食限定で無料の弁当を提供することにしました。
この日のメニューは夏野菜を使ったカツカレーです。
ボリューム満点のお弁当に子どもたちもうれしそう。
弁当を受け取った子どもは
「お腹がすいているときに、すごくお腹がいっぱいになると幸せ」「カツとカレーが合うからおいしそう」
オープンから3ヶ月、「なないろ」は多くの子どものお腹をいっぱいにしてきました。オーナーの手塚さんが心がけていること、それは…
レストラン「なないろ」手塚誠二さん
「小学4年生も“お客様さま”なんですよ。そこが大事で『ありがとうございます』って声をかけたり、『いらっしゃいませ』って声かけたり、『いっぱい食べてってね』とか。無料とは書いてありますけど保護者同伴ですし、お金はちゃんともらっていますので。ちゃんとした商売として心がけています」
レストラン「なないろ」手塚誠二さん
「『ごめんなさい、ごめんなさい』って親が頭を下げているシーンなんて子どもは見て喜ばないので、『ありがとうございました』『ごちそうさまでした』の関係でいいんですよ。そういう仲でいてほしい」
店内にあふれる笑顔。
幸せは食が運んでくれる、手塚さんはそう信じています。
(YBSワイドニュース 2024年8月8日放送)