【独自解説】「あなたたちは“ピュアウオーター”」韓鶴子総裁が呼びかける“統一教会”、いま「聖地」に異変!?触れ合い動物園や“冬ソナ聖地”を訪れるクルーズ船など“テーマパーク化”「教団本部は資金面で厳しい状況にある」
“統一教会”を巡っては、2022年7月、安倍晋三元首相の銃撃事件を発端に、信者による高額献金の問題など驚きの実態が次々と明らかになりました。そして2023年10月、政府によって解散命令請求がなされ、現在日本での布教活動が難しくなっています。そんな中、教団本部がある韓国で“ある変化”が起きているといいます。フリージャーナリストの鈴木エイト氏の解説です。
「日本の信者も大勢行っている」“統一教会” 教団本部に観光施設次々オープン「バードパーク」は入場料3400円…当面の運転資金捻出目的か?
「世界平和統一家庭連合」いわゆる“統一教会”。日本では、解散命令の審理が続く中、韓国の教団本部の付近では次々と観光施設がオープンしています。4月には花や鳥と触れ合える「バードパーク」がオープン。入場料は大人約3400円だといいます。また、同じ月にクルーズ船も運行を開始していて、「冬のソナタ」のロケ地・南怡島行きの運賃は大人約5200円だということです。他にも今年1月には動物園もオープンしています。
教団は、韓国での経済活動について、「日本の状況とは全く関係ありません」とコメントしています。しかし、鈴木エイト氏は「日本の信者からの献金が難しくなる中、教団本部は資金面で厳しい状況にあるはず。当面の資金を捻出するため新たな事業を開始したと思われる」と話しています。
Q.聖地とされるところを突然テーマパーク化するということは、かなり資金が苦しいということですか?
(フリージャーナリスト・鈴木エイト氏)
「ある程度前から計画されていたもののようなんですが、500億円掛かったと言われる『天苑宮』を作った教団系の建設会社も倒産の危機にあるという話もある他、分派との裁判闘争に敗れて1千億円近い負債があるともいわれています。そういう中で当面の運転資金を捻出するために、こういう事業に力を入れてきたのではないかと見ています」
Q.韓国では信者以外も訪れているようですが、韓国の人は、“統一教会”のことをあまり知らないのでしょうか?
(鈴木氏)
「変わった団体、いろんな事業をしている団体という認識だと思います」
Q.韓国ではそんなに苛烈な献金集めをしていないのですか?
(鈴木氏)
「以前に比べると、献金の要請やその額は増えているようなんですが、日本と比べるとそこまで苛烈ではないということです」
Q.日本の信者に「新しい施設ができたので、見に来なさい」ということはないのですか?
(鈴木氏)
「現実、日本の信者も大勢行っています。行った感想などをSNSなどに投稿などもしています」
(読売テレビ・高岡達之特別解説委員)
「観光事業が一番地域との摩擦も起こしませんし、やりやすいだろうと思います。誤解を与えないように慎重に言いますが、日本でもいわゆる『拝観料』という形で施設の中を公開しているところもあるわけですが、行く側としては、行った結果、『信じなさい』とか、『入りなさい』『何か買いなさい』とか言われなければ抵抗感はありません」
Q.今は苛烈な献金は止まっているのでしょうか?
(鈴木氏)
「表向きに『こういうノルマが出ている』という情報は入ってきてはいないのですが、日本からの献金がないと成り立たない組織構造になっているので、そこが苛烈化する恐れはあります」
韓鶴子総裁は、「(こどもたちに対して)皆さんは“ピュアウオーター”です」「真の母子思想は真の家庭運動であり“ピュアウオーター”です。汚れた水を浄化してくれる“ピュアウオーター”」などと“ピュアウオーター”という言葉を連発しています。鈴木氏によると、この“ピュアウォーター”とは、「合同結婚式で祝福を受けた2人から生まれた『祝福2世』を“ピュアウオーター”と呼んでいる。『祝福2世』に対して、教団への忠誠や使命感を持たせる狙いか」と話しています。
Q. 「祝福2世」に対して「あなたたちは特別ですよ」と言っているのでしょうか?
(鈴木氏)
「水の性質である、どんな形にも変えられるであるとか、どこまでも突き進んで浸透していくであるとか、激流になって進めていくであるとか、『祝福2世』を鼓舞する形で布教などを含めた“統一運動”を率先して進んでいくように使命を与えられている、という感じはあります」
解散命令請求から7か月…教団の今後は?「関係のあった“政治家とのつながり”は命綱になる」
2023年10月、政府は解散命令を請求し、東京地裁はこれを受理、審議が進められることとなりました。2024年2月、初めて教団と政府の意見を聞く「審問」が非公開で行われました。3月上旬、政府は教団を「指定宗教法人」に指定、これにより、教団は「不動産の売却を国に通知」「財産目録の3か月ごとの提出」などを義務付けられました。3月下旬には政府の質問権行使に対し教団側が100項目以上で回答を拒否したため、東京地裁は教団に過料10万円を命じました。教団側は即時抗告しています。
政府は、教団への解散命令請求の理由として「信者に過度な献金や物品購入をさせて、経済的な負担や精神的苦痛を与えてきた」としています。対して教団側は、「当法人が『資金集めを目的とした団体だ』との文科省主張は明らかな間違い。文科省発表の『被害規模』は和解や示談が成立した金額が含まれているため、実態とはかけ離れている」と主張しています。
Q.教団の「和解や示談が成立した金額が含まれている」という主張はどうなんですか?
(鈴木氏)
「和解や示談であっても、被害者が被害感情を持って交渉しているわけですから、これを被害額に含めることに何の問題もないと思います。教団側の主張は的外れだと思います」
Q. “地裁判断”はいつ出るのでしょうか?
(鈴木氏)
「色々予想は分かれていますが、解散命令請求が2003年の10月13日でしたので、そこから1年から少しぐらいで地裁の判断が出るのではないかとみています」
Q.地裁判断が出た後の教団の“資産隠し”を防ぐには、「指定宗教法人」では不十分なのでしょうか?
(鈴木氏)
「この法整備は2023年末に成立したものです。これは、教団が財産を移すような動きがあれば『特別指定宗教法人』として、被害者が財産目録の閲覧を請求できるようになるので一定の抑止力にはなるのですが、教団の財産散逸を防ぐようなものにはなっていません。“特別”に指定することによって、それだけ悪質なことをしている団体だという“逆のお墨付き”を与えられる可能性はあります」
Q.「資金難で過度な献金集めが増える」恐れは大きいのでしょうか?また、“政治家とのつながり”は切れないのでしょうか?
(鈴木氏)
「新たな“霊感商法”らしきものをしている気配もありますし、今後も関連団体は残ります。また解散命令後も任意団体として継続するということからも、組織防衛のために関係のあった“政治家とのつながり”は命綱になると思います」
(高岡特別解説員)
「今、ほかの問題も含めて大変政治に厳しい空気です。時期は別として『今年中に総選挙もあるかも』となっているわけで、裁判所の判断が出る時期によっては(“統一教会”問題が)再燃する可能性があるので、政治家側も息を殺して見ていると思います」
(「情報ライブミヤネ屋」2024年5月13日放送)