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梨泰院の転倒事故 カメラマンが見た、日常と隣り合わせの惨劇……「いつ当事者になるかもしれない」 2022年“取材の裏側”

2022年12月24日 12:06
梨泰院の転倒事故 カメラマンが見た、日常と隣り合わせの惨劇……「いつ当事者になるかもしれない」 2022年“取材の裏側”

注目された2022年の取材を特集。日本テレビ映像取材部の斉藤重実カメラマンと、10月に韓国・梨泰院で起きた転倒事故を振り返ります。遺失物の数々に壮絶さを感じ、そこで出会った男性が印象に残っているといいます。事故を通して伝えたい思いとは。

 ◇◇◇

ハロウィーンを控えた10月29日の夜。韓国・ソウルの繁華街、梨泰院(イテウォン)に集まった人々が折り重なるように転倒し、日本人2人を含む158人が亡くなりました。

浦野モモアナウンサー
「この事故が起きてから、どのくらいで現場に行かれたんですか?」

斉藤カメラマン
「(東京から出発して)現場に着いたのは1日後の24時間後の深夜でした。現場(周辺)に着くと、やはり多くの警察官と警察車両、献花をする人たちであふれ返っていて、すごく物々しい雰囲気だったのを覚えています」

■「現実味ない」…路地で思ったこと

事故の惨状をリポートするために、多くの人が亡くなった路地で撮影していた斉藤カメラマン。当時、何を思っていたのでしょうか。

斉藤カメラマン
「いざその現場の細い路地に行ってみると、逆にもう誰もいない、シーンと静まり返った細い路地だけだったので、(ニュースの)あの映像と(目の前の)この路地というのが、やはり最後まで違和感というか、現実味がありませんでした」

「東京でもどこでもあるような細い路地で、これだけたくさんの人が亡くなったというのは、本当に想像できないというか…」

事故の壮絶さを肌で感じたのは、被害者の持ち物が保管されている、ソウルの遺失物センターを取材した時だったといいます。

斉藤カメラマン
「その中に、血の付いたスニーカーだったり、割れたメガネだったり、ハロウィーンの衣装だったりがあって、上着に汚れた跡があったり、その当時の現場の生々しさというのを感じました」

多くの人が楽しみにしていたハロウィーンが、一夜にして大惨事へと変わった様子を物語る、数々の遺失物。

浦野アナウンサー
「カメラマンとして気を付けていたことはありますか?」

斉藤カメラマン
「遺失物も、日本の若者など見ている人に通じるように、日常的に日本でも使っているようなワイヤレスイヤホンだったり、流行りのスニーカーだったりを集中的に撮影した記憶があります」

そして遺失物センターの取材で最も印象に残っているのは、1人の男性です。男性はあの日、母と姉と3人で梨泰院を訪れていました。

斉藤カメラマンは「当日(男性)は梨泰院に行く予定がなかったんですけど、何かちょっと話の流れで『今日ハロウィーンがあるから梨泰院に行ってみようか』という(ことになりました)」と振り返ります。

しかしあまりの混雑から、後で合流しようと別行動をとった矢先、男性の姉は事故に巻き込まれて帰らぬ人になりました。

浦野アナウンサー
「本当は楽しい予定のはずだったのに、ということですよね。その様子が、この道のあちこちにある残骸からも、きっとそのような方がたくさんいたんだろうな、ということが分かりますよね」

斉藤カメラマン
「本当に、(日常は)事故と隣り合わせだと思いましたね」

■「身近に感じてもらえるように」撮影

斉藤カメラマンは、現場での取材を通して、伝えたいことがあるといいます。

「やはり(事故現場は)東京にどこにでもあるような路地で、日本でもハロウィーンだったり花火大会だったり、大勢の人が集まるイベントがあります」

「韓国で起こったただの事故というよりも、日本で同じようなことが起こるんだよというのをやはり伝えたくて。自分たちもいつ当事者になってしまうかもしれないというように、身近に感じてもらえるように撮影しました」

(12月23日『Oha!4 NEWS LIVE』より)

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