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“イクメン”に育てられた子どもはメンタルヘルスの不調を予防か アジアで初調査

2023年1月13日 11:40

乳児期に、父親の育児への関わりが多いことが、思春期の子どものメンタルヘルスの不調を予防する可能性があることが研究グループの分析で分かりました。アジア圏では、初めての研究だということです。

東京・世田谷区にある国立成育医療研究センター研究所社会医学研究部の加藤承彦室長らの研究グループは、乳幼児の父親の育児への関わりが、その子どもが16歳になった時点でメンタルヘルスの不調にどのように関連しているのか分析しました。この分析は、2001年に生まれた日本全国の1万8510人の子どもがいる世帯が対象です。

「家の中で相手をする」、「おむつを取り換える」、「入浴させる」など父親の育児への関わりを聞き、「いつもする」は3点、「ときどきする」は2点、「ほとんどしない」は1点、「まったくしない」は0点とし、回答結果に点数を付けました。点数を基に4つのグループに分けて、それぞれのメンタルヘルスの状況を比較しました。

この結果、最も点数が多いグループでは、最も点数が少ないグループに比べ、メンタルヘルスの不調のリスクが10%下がっていました。この結果から、乳児期における父親の育児への関わりが多いことが、長期的に子どものメンタルヘルスの不調を予防する可能性が示唆されました。

(メンタルヘルスの不調とは、子どもたちに、睡眠や現在の気分、日常生活に興味のあることがたくさんあるかなどの質問に答えてもらい、その結果を分析して判断したということです。)

日本を含むアジア圏では、こうした研究はこれまで実施されておらず、今回の研究が初めてだということです。

研究の発表者は、「性別役割分担が一般的だった日本においても、父親が積極的に育児に関わることが推奨される社会になりつつあります。本研究から得られた知見は、そういった日本社会の変化が子どもの成長にとって好ましい影響をもたらす可能性を示唆しています」と述べています。

また、今後は「より新しいデータを用いて検証する必要がある」としています。

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