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【全文】「日本のEEZが含まれる」中国の軍事演習に懸念 松野長官会見(8/3午前)

2022年8月3日 16:29
【全文】「日本のEEZが含まれる」中国の軍事演習に懸念 松野長官会見(8/3午前)

松野官房長官は、3日午前の会見で、中国が4日から台湾周辺で行う軍事演習について、日本のEEZ=排他的経済水域が含まれているとして、中国側に懸念を伝えました。

<会見トピックス>
▽米下院議長の台湾訪問

▽新型コロナ専門家の提言

▽救急外来の逼迫

▽首相の新型コロナ感染確認について

▽衆院小選挙区の区割り

▽旧統一教会

▽安倍元総理の国葬

▽福島第一原発の処理水

▽日野自動車データ改ざん

会見の概要は以下の通りです。

○松野官房長官
お配りをした通り、このたび第4回野口英世アフリカ賞の受賞者を決定をしました。

野口英世アフリカ賞はアフリカでの感染症等の疾病対策のために堅調な功績を挙げた方を顕彰し、それによりアフリカに住む人々の保健と福祉の向上を図ることを目的とし、政府が2006年に創設をしたものであります。

今回、医学研究分野では南アフリカ共和国のサリム・S・アブドゥル・カリム博士および、カライシャ・アブドゥル・カリム博士のご夫妻。

医療活動分野では、ギニア虫症撲滅プログラムに授与いたします。

受賞者には賞状、賞牌および各分野で賞金1億円が贈られます。

この賞を通じ、野口英世博士の偉業とその精神が世界に再認識され、アフリカでの感染症等の疾病対策に対する国内外の関心と支援がさらに高まることを期待いたします。

授賞式は今月末の第8回アフリカ開発会議の機会に実施される予定であります。

詳細は内閣府野口英世アフリカ賞担当室にお尋ねください。

私からは以上です。

――アメリカのペロシ下院議長の台湾訪問についてお伺いします。

アジア歴訪中のペロシ下院議長が台湾入りしました。

現職下院議長の訪台は25年ぶりで、3日に蔡英文総統と会談します。

中国軍は台湾近辺周辺で演習を実施し、米海軍も空母打撃群を派遣するなど軍事的緊張が高まっていますが、日本政府としての受け止めをお伺いします。

○松野官房長官
台湾海峡の平和と安定は、わが国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要であります。

台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのが、わが国の従来からの一貫した立場であります。

このような観点から中国側が発表した一連の軍事活動については、我が国として懸念を有しており、改めて両岸問題の平和的な解決を強く促したいと考えています。

また、今般中国側が4日正午から行う軍事演習の対象地域として発表した海域には我が国のEEZが含まれており、実弾射撃訓練という軍事活動の内容も踏まえ、我が国から中国側に対して懸念を表明しました。

――ペロシ氏は日本を訪問することも明らかにしておりますけれども、総理や長官とも面会することになるのかお聞きします。

○松野官房長官
ペロシ下院議長の訪日中の日程や会談相手については現在調整を行っているところであります。

いずれにせよ、ペロシ下院議長の訪日は旭日大綬章を受章された2015年以来7年ぶりであり、日米間の議会交流を含む人的交流をさらに強化するものとして歓迎をいたします。

――中国側の軍事活動については日本のEEZが含まれているとのことだが、いつどのようなルートで表明されたのか。

○松野官房長官
詳細につきましては外務省にお尋ねをいただきたいと思います。

――今回のペロシ氏の訪台を日本として支持するか

○松野官房長官
ペロシ下院議長の海外訪問について日本政府としてコメントする立場にはありません。

――関連して伺います。

今回の中国の軍事活動が不測の事態を招く可能性は日本政府としてあると見ているのか。

それとペロシ氏の訪台に伴って自衛隊の配備を含めて日本政府として何らかの対応をとっているのかについてお願い致します。

○松野官房長官
繰り返しになりますけれども、台湾海峡の平和と安定は、わが国の安全保障はもとより、国際社会の安定にとっても重要であります。

台湾をめぐる問題が対話により平和的に解決されることを期待するというのがわが国の従来からの一貫した立場であります。

そのような観点から中国側が発表した一連の軍事活動については、わが国として懸念を有しており、改めて両岸問題の平和的な解決を強く促したいと思います。

防衛省自衛隊においては平素より、我が国周辺の海空域において警戒監視、情報収集活動を行っていますが、具体的な自衛隊の体制について、お答えをすることは差し控えさせていただきたい。

――話題変わりまして、新型コロナウイルス関連で伺います。

昨日、政府分科会会長の尾身茂氏ら専門家有志が医療逼迫などをうけオミクロン株の特徴に合わせた柔軟かつ効率的な保健医療体制の確保が必要と訴え、具体的な提言を提出しました。

政府として提言内容を検討する考えがあるのかをお教えください。

また、メンバーからは提言は分科会で議論したかったとの発言がありました。

政府が政府対策分科会を開いたのは先月14日ですが、これ以降開いていなかった理由について教えてください。

○松野官房長官
昨日の専門家有志による提言につきましては、専門家の方々に1日でも早く公表したいとの強い意向があったことから、今回は新型コロナ分科会としての提言ではなく、専門家有志による提言としての発表になったと承知をしております。

政府としては新型コロナ対策については、日々様々な専門家と意見交換を重ねており、引き続き、専門家と緊密に連携しつつ適切に対応してまいりたいと考えております。

――関連して。

昨日、日本救急医学会など4学会も救急や発熱外来の逼迫を受けて受診の目安などを示す声明を出しました。

医療の専門団体がこ うした声明を出さざるを得なくなっている現状について政府の受け止めをお伺いします。

また、緊急度の高い救急患者が救急医療を適切に受けられるようになっていないとの指摘もありますが、政府としての対策も伺います。

○松野官房長官
新型コロナの新規感染者の急増に伴い、救急外来の受診が拡大をし、また救急車が医療機関に受け入れられるまでに時間を要する事例が生じているなどを背景に、昨日、日本感染症学会、日本救急医学会などが、限りある医療資源を有効活用するための医療機関受診および救急車利用に関する4学会声明が出されたことは承知をしております。

政府としては、これまでも厚生労働省から都道府県等に対し受診控えが起こらないよう配慮の上、例えば無症状で念のための検査のためだけの救急外来受診を控えることについて周知を進めるよう改めて要請をしているところであります。

また救急対応を行う医療機関の負荷を軽減するため発熱外来の混雑の緩和を行いつつ、有症状者が必要な健康観察を受けられるよう、発熱外来の受診に代えて検査キットによる検査を受けられる体制の整備などに取り組んでいるところであります。

今回の4学会声明にある、限りある医療資源の有効活用については大切な視点であると認識をしており、引き続きこうした国民への呼び掛けの活用周知を行い、医療体制の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

――新型コロナについて。

首相秘書官のうち3人が新型コロナに感染している中で岸田総理の感染の有無の確認はどのように行っているんでしょうか。

毎日PCR検査などを行っているんでしょうか。

○松野官房長官
まず米国に出張された総理をはじめ、磯崎副長官、山本総理秘書官を除く同行秘書官についてはPCR検査で陰性を確認をしています。

総理は平素より医務官による健康状態のチェックを受けており、今後とも必要に応じて検査を実施するとともに官邸における感染対策に万全を期してまいりたいと考えております。

――尾身会長らの提言の関連で伺う。

全数把握の見直しを提言され、これは知事会や先ほどの学会からもそういった意見が出ているが、こういったことに政府として第七波の収束を待たずに着手する考えはあるか。

○松野官房長官
新型コロナについては全国的にこれまでで最も高い感染レベルを更新し続けており、病床使用率は地域差が見られるものの、総じて上昇傾向が続き、医療提供体制に大きな負荷が生じています。

また重症者数や死亡者数も増加傾向が続き、今後の動向に注意が必要と考えています。

昨日、政府の新型コロナウイルス対策分科会の尾身会長など専門家有志が今後に向けた提言を行われたことは承知をしております。

医療機関の負担軽減等を図る観点から、これまでも累次にわたり対策を講じてきたところでありますが、引き続き専門家の皆さんのご意見もお聞きをしながら、さらなる対応について時期を逸することなく適時適切に具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

――本日午後、自民党の総務部会選挙制度調査会の合同会議が、先般、区割り審から勧告があった衆院小選挙区の新たな区割り案を議論する。

党内から異論も出ているが、政府として今後の手続きをどのように進めるか。

また新たな区割り案では、一票の格差が改善されて最大で1.999倍となるが、今後の人口動態を考えると改善の目安とされる2倍をすぐに超える可能性がある。

その可能性をどのように考え、それを是とした上で公選法の改正を考えるのか。

○松野官房長官
衆議院議員選挙区画定審議会から勧告いただいた改定案については令和2年国勢調査の結果に基づき各選挙区の人口の格差を2倍未満にすること、第49回総選挙当日有権者数で格差2倍以上となっている状況を考慮しつつ、地域のまとまりなどにも配慮しながら、最善と考えられる改定案を取りまとめられたものであると承知をしています。

なお、次の令和7年の国政調査の結果により、最大格差が2倍以上となった場合には、衆議院選挙区画定審議会設置法の規定により、各都道府県の選挙区の数を変更することなく審議会において、2倍未満となるよう改定案を作成することとされています。

いずれにしても国会においてご審議いただけるよう、政府としては必要な法制上の準備をしてまいりたいと考えております。

――旧統一教会について。

霊感商法など問題となっている旧統一教会と閣僚や国会議員との関係が明らかになっています。

岸田首相と官房長官はこれまでに選挙の応援を受けたり、イベントに参加するなど関係や接点がなかったのかお伺いします。

また国会議員と旧統一教会との関係について解明すべきだという声が野党などにありますが、政府としての考えをお伺いします。

○松野官房長官
お尋ねについては、総理や私の個々の政治活動にかかわることであり、政府としてこの会見の場でコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

一般論として申し上げれば、個々の政治家が自らの政治活動において責任を持った言動することが大切であります。

社会的に問題になっている団体との関係については政治家の立場からそれぞれ丁寧に説明を行っていくことが大事であると考えております。

――安倍元総理の国葬について。

政府は費用について予備費から支出する方針だが、今のところの概算でどの程度の費用を見積もっているのか。

現在の検討状況について。

また国会の議論を経ずに国葬の費用を予備費から支出することが財政民主主義の観点から適正なのか、ご所見を伺います。

○松野官房長官
国葬儀のため必要な経費は国費で支弁することとしており、これまでの葬儀の例と同様に、一般予備費の使用を想定していますが、詳細は今後葬儀の内容が具体化される中で検討をしていくところであります。

予備費の使用にあたっては、財政民主主義の観点から憲法や財政法の規定に沿って対応していく考えであります。

――処理水放出設備の新設について。

福島県などは東京電力福島第1原発から出る処理水の海洋放出に必要な設備の新設を了承。

政府の受け止めと、処理水の海洋放出に向けたスケジュールについて改めて伺う。

○松野官房長官
昨日、福島県大熊町、双葉町に置いてALPS処理水放出の設備等の新設に関する事前了解が行われ、その旨、東京電力に回答があったものと聞いています。

この回答では、万全な安全対策や情報発信と東京電力に対する意見も付されていると承知をしており、これらが適切に実施されるよう、国としても東京電力を指導しつつ、昨年4月に決定した政府方針に沿って必要な準備を進めていきたいと考えております。

具体的には、今後も原子力規制委員会やIAEAが安全性を確認するとともに、その安全性を生産者から消費者まで多くの方々に説明することなどを通じて、風評を生じさせない取り組みを徹底をしていく考えであります。

なおスケジュールにつきましては、昨年4月に決定した基本方針において、2年程度後に海洋放出を開始することをめどに準備を進めるとしており、今後の工事の進捗を注視 してまいりたいと考えております。

――日野自動車の排出ガスや燃費データの改ざん問題をめぐり、同社が調査委員会がまとめた報告書で不正行為が少なくとも2003年から行われていたと発表しました。

また国交省の16年の調査に対し、虚偽の報告を行ったと認定しています。

政府の受け止めと今後の対応について伺います。

○松野官房長官
昨日、日野自動車から国土交通省に対して本年3月に報告があったエンジン以外についても、排出ガス性能や燃費性能を確認する試験において不正な行為があった旨の報告があったものと承知をしております。

今回の不正行為は約20年にわたり、複数のエンジンを対象に行われており、自動車ユーザーの信頼を損なうとともに、自動車認証制度の根幹に関わる不正事案であり極めて遺憾であります。

国土交通省において、本日より日野自動車に対する立ち入り検査およびヒアリングを行い、不正行為等の事実確認、再発防止策の実施状況の確認等を行って厳正に対応していく考えであります。

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